孟宗の竹籔
お寺の竹籔
孟宗の竹籔
お小僧が 掘つても
孟宗の竹籔
お弟子が 掘つても
孟宗の竹籔
掘つても 掘つても
孟宗の竹籔
お弟子が あきれて
鍬 投げた
お小僧も あきれて
鍬 投げた。
じんぐ じんぐ 掘つても
孟宗の竹籔
どこまで掘つても
孟宗の竹籔
よくよく これはと
鍬 投げた。
そろそろ 踏んでも
孟宗の竹籔
ヤンヤと 踏んでも
孟宗の竹籔
踏んでも打ても
孟宗の竹籔
和尚さん 駄目だと
鍬 投げた。
手毬唄
お手毬ついて
毬ついて
二人で仲よく
遊びませう
あなたも 草履を
はいといで
わたしも 草履を
はいて来よう
あなたの 髪は
お煙草盆
わたしの 髪も
お煙草盆
お手毬ついて
毬ついて
二人で仲よく
遊びませう
明日も 明日も
遊びませう
仲よく 仲よく
遊びませう。
河童の祭
今夜は 河童の
お祭だ
獺ア 車に
乗つて来らア
泣く子は 河童に
獲られるぞ
お祭ア 太鼓で
押して来た
泣く子に 当薬
なめらせろ。
山の日
寒い日が
続いた
ぽかり ぽかり
日が照れ
日南ぽつこ
暖いな
山から海から
日が照れ。
猫の髯
隣の父さん
小豆 一升
煮てた
牡丹餅甘いな
てつこ盛つて
食べた
三毛猫ア馬鹿だぞ
髯に
火がはねた
子
田甫の田螺
早く
早く
起きろ
子供の雁は
ぱつた
ぱつた
翼だ
遠い遠い国へ
飛び
飛び
往つた。
七つの子
烏 なぜ啼くの
烏は山に
可愛七つの
子があるからよ
可愛 可愛と
烏は啼くの
可愛 可愛と
啼くんだよ
山の古巣に
行つて見て御覧
丸い眼をした
いい子だよ。
河原千鳥
こんこん 狐に
まはされた
娘は 昨夕も
帰らない
今夜も 河原で
啼け 千鳥
晩方のお日さま
ゆつさゆつさ
小笹に ゆられて
ゆつさゆつさ。
ホーホー鳥
鶉の鳥が
田甫で 啼いた
田甫の土を
踏み踏み 啼いた
ホーホー鳥も
お山で 啼いた
お山の森に
隠れて 啼いた
もう日が暮れる
お家へ帰ろ。
雪降り小女郎
泣く子は
帰れ
雀と帰れ
一軒家の
背戸に
雪五合降つて来た
山の 山の
奥の
雪降り小女郎
一里も 二里も
雪負つて
飛んで来た。
木小屋と柿の木
太郎作家の鼬の子 『このごろ魂消た 出来事だ
太郎作どんには
内証だぞ
次郎作どん家の
姉さまは
太郎作どん家の 柿の木さ
朝晩 かかつて
ゐたんだぞ
次郎作家の鼬の子 『己らも魂消た 出来事だ
次郎作どんには
内証だぞ
太郎作どん家の
鶏雛と
次郎作どん家の 鶏雛と
木小屋さ あがつて
ゐたんだぞ。
だまされ太郎作
鼻黒鼬
『太郎作どんてば 太郎作どん
留守番すべから 往つてごぜえ
だまされ太郎作
『たしかに 留守番
たのんだぞ
太郎作家の鶏の子
『鼬奴 来たらば
なじよにしべえ
鶏の親父
『厩の前ちよで
遊んでろ
鼻黒鼬
『うまいぞ 雛鶏 追つかけべえ
太郎作ア来たても話すなヨ
鼻黒鼬の子供
『親父さん 己らも
追つかけらア
柿の木の上の雀
『己らは なんにも
知んねえぞ
厩の馬
『己らも なんにも
知んねえぞ
背戸籔のみそさざい
『雛鶏ア追はれて逃げたつけ
尻餅つきつき逃げたつけ
井戸端の釣瓶
『太郎作どんてば戻らつせえ
この事 見たらば腰ア抜けべ。
郷土の人と土とに親みの多い二三の方言が、本書童謡中にとりいれてあります。たとへば、「背戸」(第一頁其他)とは家の裏のことです。「てつこ盛つた」(一四五頁)とは、山盛りに盛つたと云ふ意味です。又「雪降り小女郎」(一五五頁)とは、東京で云ふおほわたこわた(背に白き粉のある小虫の名)のことです。晩秋の曇った日などに多く、群つて飛びます。私達の地方(茨城県の北隅)ではこの虫が飛ぶと、軈て初雪の降るしらせだと云つてをります。
●表記について
- このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
- 「くの字点」をのぞくJIS X 0213にある文字は、画像化して埋め込みました。
- 傍点や圏点、傍線の付いた文字は、強調表示にしました。
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