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恋衣(こいごろも)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-11-22 10:11:27  点击:  切换到繁體中文


あづまが扇に染めし梅の歌それおもひでに春とこそ思へ

この世をもはては我身も咀はるる竹ゆく水に沈む日みれば

袖おほひさびしき笑みの前髪にふさへる花はしら梅の花

うぐひすを春の桜におほはせて水の月さす夏の夜きかむ

山かげの柴戸をもれししはぶきに朝こぼれたりしら梅の花

われ思へば白きかよわの藻の花か秋をかなたの星うけて咲かむ

桃さくらなかゆく川の小板橋こいたばし春かぜ吹きぬ傘と袂に

よき里と三とせ御筆みふでのあとに見き今宵虫きくうす月の路 (渋谷にて)

君待たせてわれおくれこし木下路こしたぢときのふの蔭の花をながめぬ

花こえてその花をりて垣にそふ夢のゆくへの家うつくしき

初秋はつあき朝睡あさいの君に御湯みゆまゐる花売るくるまかどに待たせて

奇しきもの指につたへて胸に入る神も聞きませ七つの緒琴をごと

こはあめか人のさかひかまた逢ひぬ飽かずと泣きてわかれにし君

まれびとに椎の実まゐる山ずみの静なる日や秋の雨ふる

わが袖に掩ひややらむかれ/″\の野花のばなはなれぬ蝶のましろき

わづらひかこれうらぶれか春のうすれ暮うするる夕栄ゆふばえを見る

みづいろの帯ふさはずやみだれ髪花のしろきに竹の青きに

うつくしき水に小橋に名おはせて里ずみ三月みつきうらわかき人

その神のみすがた知らず御名みな知らず夢はましろの百合の園生に

まぼろしにうつらむものかわがおもひ紅きむらさき色のさま/″\

うたたねのひたひにかづく春の袖牡丹とこがねの蝶と

今はただ歌の子たれと願ふのみうらみじ泣かじおほかたの鞭

うつつなき春のなごりの夕雨にしづれてちりぬむらさきの藤

心とはそれより細き光なり柳がくれに流れにし蛍

あゝ君よ心とわれと別れきぬ深山に似たる秋かぜの家[#「秋かぜの家」は底本では「秋かぜの」]

花や雨や野の紫や春のひと酔ひてしばしの夢まどろまむ

海棠のむろに歌かく春の宵ものあくがれの酒われに濃き

はえとくやもろしと云ふや君よ人よ蝶のむくろに春をうらなへ

このゆふべ色なき花にまたも泣くえにしつたなき春のわすれ子

髪あらへば髪に花さき山みづにさくらいざよふ清滝の里

野の虹のかたへうすれて鐘なりぬ柳にしばしたたずむや誰

奥の院の夕の壁に歌も染めず白き桔梗をたをりてりぬ

おきてたるさとしかしこみ国出づと母の御墓の花に泣く人

ながれゆく汝れよ笹舟しばしまてこの歌染めていのち与へむ

紅蓮べにはすの花船ひとつ歌のせて君ある島へ夕ながさむ

夏くさを一里わけたる君がかど昨日も笑みてただに別れぬ

ふすまぬけて戸をくる京の雪の朝この子が思ひ詩によみがへる

病む鳥を籠にあはれむ夕ばしら憂かりし春の又も眼に満つ

すだれに春の眼によき玉おばしま比良の[#「の」は底本では判読不可]むらさき二尺に足らぬ

おとろへにひとり面痩せ秋すみぬ山の日うすく銀杏いてふちるかど

わが友の照る頬の春よ淀川のみどりあふれて君がかどゆけ (以下二首京にありしほど浪華の友に)

肩あげによき頬のにほひ君が春を才に耻もつわれ京の姉

ふと倚るに見たるは清き高きまどひその昨日きのふもつしら梅の花

拍つ手ここに御池みいけの緋鯉なれつるよ一人ひとりを京の春の子老いな

まぼろしに得たるみすがたたどる眼にいつしか霧の枯野を得たり

わが魂を武蔵やいづこ水よ引けよるの二百里花ふらしめよ

御手みてもろともそよ片山のこがらしにまぎれ消ぬべき我ならばとも

おんすくせわかき御尼みあまに泣かれけり堂の夕寒ゆふさむわが袖まゐる

寒菊に涙さびしき夕別れせつなき別れ西の京にして

わがなれぬ寒さの袖にまたも雪風は愛宕の北のおろしよ

そのおもざし姉に似たるにまた泣きぬ雨のまくらをふた夜の人や (弟と京にてよめる)

知らざりしほころべば[#「ほころべば」は底本では「ほころべは」]黄に紫にきのふ垣根に名なかりし草

舟にして蓮きる御手の朝うつくし十九を滋賀の水によき君 (友に)

なぐさめむ人なき寮の夜のさくらおなじ愁の君にちるべき

夜の柳ひくき浪華の水なりき歌うて過ぐる君とのみ見し

笛を追ひてゆふべ船やる水一里はすの香のせて櫓にやはらかき

なぐさみぬ都の旅の秋の身も歌に笑む夜は足る人のごと

すもゝちる京の夕かぜ又もむひととせ見たる美くしき窓

ゆく春をひとりしづけき思かな花の木間このまあはき富士見ゆ

江戸川のさくら黄ばめる朝靄にわかれし人をえこそ忘れね

春雨に山吹うかぶ細ながれみどりこなたへ君をいざなへ (東の京より西の京の友へ)

秋の日のこがねにほへる遠木立とほこだちそこにか母のありかたづねむ

磯にして君を思ふに清き夜や歌とは云はじ浪に得し珠 (以下二首上総の海辺にて)

汐あむや瑠璃を斫りたる桂なし海松みるぶさささともぬかふれにける

とほく行く身にたまはりぬ琵琶だきて秋の雲みる西のみづうみ

この世にはあらずと知りしかたらひをしづかに思ふ森かげの道

春うたふ小鳥追ひ打つ世と知らずあくがれ出でし花のづたひ (以下拾首さることにふれて)

うるはしきゆめみごこちやこのなさけこの歌あめの母にそむかじ

彼のあめを知らぬ土鼠もぐら宮守みやもりにわが歌悪しと憎まれにけり

耳しひしひじりはわかきうぐひすのよきは問はずに閉ぢてのみ

われ咀ひ石のものいふ世と知りぬつめたき声に心こほりぬ

みなさけかねたみか仇かあざけりかほほゑみあまた我をめぐれる

歌はみなあめのひかりにあこがれぬ母なき国に栖みわびぬれば

わが歌は鴿はとにやや似るつばさなり母ある空へ羽搏はうち帰れと

大神のみまへめぐりて立たむときかしこき人ら今日を忘るな

わきて身にしむやこの秋もみぢ葉のこきひと葉すら咀はれの色



[#改丁]


曙染

與謝野晶子


春曙抄しゆんじよせうに伊勢をかさねてかさ足らぬ枕はやがてくづれけるかな

あゝ野のみち君とわかれて三十また見ぬ顔に似る秋の花

ほととぎす聴きたまひしか聴かざりき水のおとするよき寝覚ねざめかな

海恋ししほの遠鳴りかぞへては少女となりしちゝはゝの家

加茂川に小舟をぶねもちゐる五月雨さつきあめわれとつゞみをあやぶみましぬ

鎌倉や御仏みほとけなれど釈迦牟尼は美男びなんにおはす夏木立かな

おもはれて今年ことしえうなき舞ごろもはこ黄金こがねくぎうたせけり

養はるる寺の庫裏くりなる雁来紅がんらいこう輪袈裟わげさは掛けでとりおはましを

ほととぎす治承ちしやう寿永じゆえいのおん国母こくも三十にしてきやうよます寺

わが恋は虹にもまして美しきいなづまとこそ似むと願ひぬ

せいマリヤ君にまめなるはしただんかいえむ日も夢みにし

よすれば香るいきはく石の獅子ふたつ栖むなる夏木立かな

髪にせばかくやくと射る夏の日や王者わうしやの花のこがねひぐるま

べにさせる人衆にんじゆうおほき祭街まつりまちきやり唄はむ男と生ひぬ

あけの緒の金皷きんこよせぬとさまさばやよくる人をにくむ湯の宿

今日けふのむかし前髪あげぬ十三を画にせし人に罪ありや無し

誰が罪ぞ永劫えうがふくらきうづしほのなかにさそひし玉と泣くひと

里ずみの春雨ふれば傘さして君とわが植う海棠の苗

ほととぎす過ぎぬたま/\王孫わうそんきんの鎧を矢すべるものか

さくらちる春のゆふべや廃院はいゐんのあるじ※(「藹」の「言」に代えて「月」」、第3水準1-91-26)じやうらふ赤裳あかもひいて

花のあたりほそき滝する谷を見ぬ長谷の御寺の有明の月

掛け香のけむりひまなきはしらをば白き錦につつませにけり

三井寺や葉わかかへで木下こしたみち石も啼くべき青あらしかな

さをとりの矢がすり見たる舟ゆゑに浪も立てかししら蓮の池

姉なれば黒き御戸帳みとちやうまづ上げぬ父まつる日のもののつめたき

更くる夜をいとまたまはぬ君わびず隅にしのびて皷緒つゞみをしめぬ

きり/″\す葛の葉つづく草どなり笛ふく家と琴ひく家と

はすを斫り菱の実とりし盥舟たらひぶねその水いかに秋の長雨ながあめ

青雲あをぐもを高吹く風に声ありて讃じたまひし恋にやはあらぬ

斯くはひてふりわけ髪の世も知らず古りしけい[#ルビの「けい」は底本では「けつ」]うつ深院しんゐんのひと

春日かすがの宮わか葉のなかのむらさきの藤のしたなる石の高麗狗こまいぬ

第一の美女びぢよに月ふれ千人せんにんの姫に星ふれ牡丹きやうせむ

このあたり君が肩よりたけあまり草ばな白く飛ぶ秋の鳥

家鼬いへいたち尾たるるさうのむかしがほやうりひとめぐりぎてもぬる

さいなさけ似ざるあまたの少女見むわれをためしに引くと聞くゆゑ

わが恋はいさなつく子かしび釣りか沖の舟見て見てたそがれぬ

白きちさき牡丹おちたり憂かる身の柱はなれし別れの時に

星よびて地にさすらはす洪量こうりやうの人と思ふにもうちがたき

花に見ませわうのごとくもただなかにをつつむうるはしきしべ

さぬ二夜ふたよ名しらぬ虫をに飼ひぬ寝がての歌は彼れに聞きませ

耳かして身ほろぶ歌と知りたまへ画ならばただに見てもあるべき

ややひろくひさしだしたる母屋もやづくり木の香にまじるたちばなの花

祭の日葵橋あふひばしゆく花がさのなかにも似たる人を見ざりし

精好せいがうあけとしら茶の金襴きんらんのはりまぜ箱に住みし小皷こつゞみ

杉のうへに茅渟ちぬの海見るかつらぎや高間たかまの山に朝立ちぬ我れ

八月や水蘆みづあしいとうたけのびてわれ喚びかねつ馬あらふひと

夕かぜの河原へ出づる小桟橋こさんばしいそぎたまふにまへざし落ちぬ

眉つくるちさき盥に水くみて兎あらふを見にきまさぬか

今日けふみちて今日たらひては今日死なむ明日あす昨日きのふよわれに知らぬ名

木曾の朝を馬子まご御主おしゆう少女笠をとめがさくらに風ふくあけぼの染に

月あると同車いなみしとが負ひて歌おほくよむ夜のほととぎす

むらさきのはすに似ませる客人まろうど荷葉かえふの水に船やりまつる

蚊やりしばし君にゆだねしけぶりゆゑおぼろになりし月夜と云ひぬ

べにしぼり緋むくなでしこ底くれなゐ我にくらべて名おほき花や

わがめいに百合からす羽の色にさきぬ指さすところ星は消ぬべし

夕粧ゆふげはひて暖簾のれんくぐれば[#「くぐれば」は底本では「くぐれは」]大阪の風かざしふく街にも生ひぬ

五月晴つゆばれの海のやうなる多摩川や酒屋の旗やもろこしのかぜ

高つきのしよくは牡丹に近うやれわれを照すは御冠みかむりの珠

欠くるなき盈つるあらぬあめつちに在りて老いよともつくられぬ (秀を生みし時)

たなばたをやりつるのちの天の川しろうも見えて風する夜かな

はすきると三寸とほき花ゆゑにみぎはの人のさそはれし舟

憂ければぞつめべにせぬ夕ぐれを色は問はずてきぬもてまゐれ

舟にのれば瓔珞えうらくゆらぐはすのかぜ掉のひとりは袞竜こんりようの袖

しら蓮や唐木からきくみたる庭舟にはぶねぢんたきすてて伯父の影なき

われを問ふやみづからおごる名を誇る二十四ときを人をし恋ふる

ここすぎて夕立はしる川むかひ柳千株せんしゆに夏の雲のぼる

水浴みあみては渓の星かげ髪ほすと君に小百合の床をねだりし

百合がなかの紅百合べにゆりとしものたまふやをかし二人ふたりの君が子の母

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