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ポラーノの広場(ポラーノのひろば)


「やかましい。そんなことはわかっている。黙って居れ。おい誰かおれの介添をしろ。テーモ。」
「はい。どうぞ、おゆるしを。あとでわたくしがよく仕置きいたします。」
「やかましい。おい、クローノ、きさまやれ。」
 クローノと呼ばれた百姓らしい男が、
「さあ、おいらじゃあね。」と云ってみんなのうしろへ引っ込んでしまいました。
「臆病者、おいポーショ、きさまやれ。」
「おいらあとてもだめだよ。」
 デストゥパーゴはいよいよ怒ってしまいました。
「よし介添人などいらない。さあ仕度しろ。」
「きさまも早く仕度しろ。」わたくしはファゼーロに上着をぬがせながら云いました。
「剣でも大砲でもすきなものを持ってこいよ。」
「どっちでもきさまのすきな方にしろ。」どこにそんなものがあるんだい、と思いながらわたくしは云いました。
「よし、おい給仕、剣を二本持ってこい。」
 すると給仕が待っていたように云いました。
「こんな野原で剣はございません。ナイフでいけませんか。」
 するとデストゥパーゴは安心したようにしながら、
「よし、持ってこい。」と声だけ高く云いました。
「承知しました。」
 給仕が食事につかうナイフを二本持って来て、うやうやしくデストゥパーゴにわたしました。まるで芝居だとわたくしは思いました。ところがデストゥパーゴはていねいにこの両方の刃をしらべているのです。それから、
「さあどっちでもいい方をとれ。」といって二本ともファゼーロに渡しました。
 ファゼーロはすぐその一本をデストゥパーゴの足もとに投げて返しました。デストゥパーゴは拾いました。
 そこでわたくしはまん中に出ました。
「いいか。決闘の法式に従うぞ。組打ちはならんぞ。一、二、三、よし。」
 すると何のことはない、デストゥパーゴはそのみじかいナイフを剣のように持って一生けんめいファゼーロの胸をつきながら後退りしましたしファゼーロは短刀をもつように柄をにぎってデストゥパーゴの手首をねらいましたので、三度ばかりぐるぐるまわってからデストゥパーゴはいきなりナイフを落して左の手で右の手くびを押えてしまいました。
「おい、おい、やられたよ。誰か沃度ヨードホルムをもっていないか。過酸化水素はないか。やられた、やられた。」
 そしてべったり椅子へ坐ってしまいました。わたくしはわらいました。
「よくいろいろの薬の名前をご存知ですな。だれか水を持ってきてください。」
ところがその水をミーロがもってきました。そして如露じょろでシャーとかけましたのでデストゥパーゴは膝から胸からずぶぬれになって立ちあがりました。
 そして工合のわるいのをごまかすように、
「ええと、我輩はこれで失敬する。みんな充分やってくれ給え。」と勢よく云いながら、すばやく野原のなかへ走りました。
 するとテーモも夏フロックもそのほか四五人急いであとを追いかけて行ってしまいました。行ってしまうと、にわかにみんなが元気よくなりました。
「やい、ファゼーロ、うまいことをやったなあ。この旦那はいったい誰だい。」
「競馬場に居る人なんだよ。」
「いったい今夜はどういうんですか。」わたくしはやっとたずねました。
「いいや、山猫の野郎、来年の選挙の仕度なんですよ。ただで酒を呑ませるポラーノの広場とはうまく考えたなあ。」
「この春からかわるがわるこうやってみんなを集めて呑ませたんです。」
「その酒もなあ。」
「そいつは云うな。さあ一杯やりませんか。」
「いいえ、わたしどもは呑みません。」
「まあ、おやんなさい。」
 わたくしはもうたまらなくいやになりました。
「おい、ファゼーロ行こう。帰ろう。」
 わたくしはいきなり野原へ走りだしました。ファゼーロがすぐついて来ました。みんなはあとでまだがやがやがやがや云っていました。新らしく楽隊も鳴りました。誰かの演説する声もきこえました。わたくしたちは二人、モリーオの市の方のぼんやり明るいのを目あてにつめくさのあかりのなかを急ぎました。そのとき青く二十日の月が黒い横雲の上からしずかにのぼってきました。ふりかえってみると、もうあのはんの木もあかりも小さくなって銀河はずうっと西へまわり、さそり座の赤い星がすっかり南へ来ていました。
 わたくしどもは間もなくこの前三人で別れたあたりへ着きました。
「きみはテーモのところへ帰るかい。」わたくしはふと気がついて云いました。
「帰るよ。姉さんが居るもの。」ファゼーロは大へんかなしそうなせまった声で云いました。
「うん。だけどいじめられるだろう。」わたくしは云いました。
「ぼくが行かなかったら姉さんがもっといじめられるよ。」ファゼーロはとうとう泣きだしました。
「わたしもいっしょに行こうか。」
「だめだよ。」ファゼーロはまだしばらく泣いていました。
「わたしのうちへ来るかい。」
「だめだよ。」
「そんならどうするの。」
 ファゼーロはしばらくだまっていましたが、俄かに勢よくなって云いました。
「いいよ。大丈夫だよ。テーモはぼくをそんなにいじめやしないから。」
 わたくしは、それが役人をしているものなどの癖なのです、役所でのあしたの仕事などぼんやり考えながらファゼーロがそういうならよかろうと思ってしまいました。
「そんならいいだろう。何かあったらしらせにおいでよ。」
「うん、ぼくね、ねえさんのことでたのみに行くかもしれない。」
「ああいいとも。」
「じゃ、さよなら。」
 ファゼーロはつめくさのなかに黒い影を長く引いて南の方へ行きました。わたくしはふりかえりふりかえり帰って来ました。
 うちへはいってみると、机の上には夕方の酒石酸のコップがそのまま置かれて電燈に光り枕時計の針は二時を指していました。

       四、警察署

 ところがその次の次の日のひるすぎでした。わたくしが役所の机で古い帳簿から写しものをしていますと給仕が来てわたくしの肩をつっついて、
「所長さんがすぐ来いって。」と云いました。
 わたくしはすぐペンを置いてみんなの椅子の間を通り、間の扉をあけて所長室にはいりました。
 すると所長は一枚の紙きれを持って扉をあける前から恐い顔つきをして、わたくしの方を見ていましたが、わたくしが前に行ってうやうやしく礼をすると、またじっとわたくしの様子を見てからだまってその紙切れを渡しました。見ると、

イ警第三二五六号 聴取の要有之本日午後三時本警察署人事係まで出頭致され
一九二七年六月廿九日
第十八等官レオーノ・キュースト殿
とあったのです。
 ああ、あのデストゥパーゴのことだな、これはおもしろいと、わたくしは心のなかでわらいました。すると所長はまだわたくしの顔付きをだまってみていましたが、
「心当りがあるか。」と云いました。
「はい、ございます。」わたくしはまっすぐ両手を下げて答えました。
 所長は安心したようにやっと顔つきをゆるめて、ちらっと時計を見上げましたが、
「よし、すぐ行くように。」と云いました。
 わたくしはまたうやうやしく礼をして室を出ました。それから席へ戻って机の上をかたづけて、そっと役所を出かけました。巨きな桜の街路樹の下をあるいて行って、警察の赤い煉瓦造りの前に立ちましたら、さすがにわたくしもすこしどきどきしました。けれども何も悪いことはないのだからと、じぶんでじぶんをはげまして勢よく玄関の正面の受付にたずねました。
「お呼びがありましたので参りましたが、レオーノ・キューストでございます。」
 すると受付の巡査はだまって帳面を五六枚繰っていましたが、
「ああ失踪しっそう者の件だね、人事係のとこへ、その左の方の入口からはいって待っていたまえ。」と云いました。
 失踪者の件というのは何のことだろう、決闘の件とでも云うならわかっているし、その決闘なら刃の円くなった食卓ナイフでやったことなのだ、デストゥパーゴが血を出したかどうかもわからない、まあ何かの間違いだろうと思いながら、わたくしは室へ入って行きました。そこはがらんとした、窓の七つばかりある広い室でしたが、その片隅みにあの山猫博士の馬車別当が、からだを無暗むやみにこわばらして、じつに青ざめた変な顔をしながら腰かけて待って居りました。
「やあ、じいさん、今日は、あなたも呼ばれたんですか。」わたくしはそばへ行ってわらいながら挨拶あいさつしました。
 するとじいさんは、こんな悪者と話し合ってはどんな眼にあうかわからないというように、うろうろどこか遁げ口でもさがすように立ちあがって、またべったり坐りました。
「あなたのご主人はいらっしゃらないのですか。」わたくしはまたたずねました。
「いらっしゃらないともさ。」じいさんはやっと云いましたが、それからがたがたふるえました。
「いったいどうしたんですか。」わたくしはまだわらってききました。
「いま調べられてるんだよ。」
「誰が。」わたくしはびっくりしてたずねました。
「ロザーロがさ。」
「ロザーロ、どうして?」もうわたくしはすっかり本気になってしまいました。
「ファゼーロが居なくなったからさ。」
「ファゼーロ?」思わずわたくしは高く叫びました。
 ああ、あの晩ファゼーロが帰る途中で何かあったのだな、……。
「話しすることはならん。」
 いきなり奥の扉が、がたっとあきました。
召喚しょうかん人はお互話しすることはならん。おい、おまえはこっちへはいって居ろ。」
 じいさんは呼ばれてよろよろ立って次の室へ行きました。そう云われて見ると、なるほど次の室ではロザーロが誰かに調べられているらしく、さっきからしずかに何か繰り返し繰り返し云って居るような気もしました。わたくしはまるで胸が迫ってしまいました。
 ファゼーロが居ない、ファゼーロが居ない、あの青い半分の月のあかりのなかで争って勝ったあとのあの何とも云われないきびしい気持をいだきながら、ファゼーロがつめくさのあおじろいあかりの上に影を長く長く引いて、しょんぼりと帰って行った、そこには麻の夏外套のえりを立てたデストゥパーゴが三四人の手下を連れて待ち伏せしている、ファゼーロがそれを見て立ちどまると向うは笑いながらしずかにそばへ追って来る、いきなり一人がファゼーロを撲りつける、みんなたかって来て、むだに手をふりまわすファゼーロをふんだりけったりする、ファゼーロは動かなくなる、デストゥパーゴがそれをまためちゃくちゃにふみつける、ええ、もう仕方ない持ってけ持ってけとデストゥパーゴが云う、みんなはそれを乾溜工場のかまの中に入れる、わたくしはひとりでかんがえてぞっとして眼をひらきました。
(ああ、あのときなぜわたくしはそのままうちへ帰ってねむったろう、なぜそんなわたくしが立っても居てもいられないはずの時刻に、わけもわからない眠りかたなどしていたろう。それにあのやさしいうつくしいロザーロがいま隣りの室でおどされたりかまをかけられたりしているのだ。)
 わたくしはたまらなくなってその室のなかをぐるぐる何べんもあるきました。窓の外の桜の木の向うをいろいろの人が行ったり来たりしました。わたくしはその一人一人がデストゥパーゴかファゼーロのような気がしてたまりませんでした。鳥打帽子を深くかぶった少年が通るとファゼーロが遁げてここをそっと通るのかと思い、肥った人を見るとデストゥパーゴがわざとそんな形にばけて、様子をさぐっているのだと思いました。突然わたくしは頭がしいんとなってしまいました。隣りの室でかすかなすすり泣きの声がして、それからそれは何とかだっと叫びながらおどかすように足をどんとふみつけているのです。わたくしはあぶなく扉をあけて飛び込もうとしました。するとまたしばらくしずかになっていましたが間もなく扉のとってが力なくがちっとまわって、ロザーロが眼を大きくあいてよろめくようにでてきました。
 わたくしは何といっていいかわからなくてどぎまぎしてしまいました。するとロザーロがだまってしずかにおじぎをして私の前を通り抜けて外へ出て行きました。気がついて見るとロザーロのあとからさっきの警部か巡査からしい人が扉から顔を出して出て行くのを見ていたのです。わたくしがそっちを見ますと、その顔はひっこんで扉はしまってしまいました。中ではこんどは山猫博士の馬車別当が何か訊かれているようすで、たびたび、何か高声でどなりつけるたびに馬車別当のおろおろした声がきこえていました。わたくしはその間にすっかり考えをまとめようと思いましたが、何もかもごちゃごちゃになってどうしてもできませんでした。とにかくすっかり打ち明けて係りへ話すのがいちばんだと考えて、もうじっとすわって落ち着いて居りました。すると間もなくさっきの扉が、がじゃっとあいて馬車別当がまっ青になってよろよろしながら出てきました。
「第十八等官、レオーノ・キュースト氏はあなたですか。」さっきの人がまた顔を出して云いました。
「そうです。」
「では、こっちへ。」
 わたくしははいって行きました。そこには、も一人正面の卓に書類を載せてひげの立派な一人の警部らしい人が、たったいまあくびをしたところだというふうに目をぱちぱちしながら、こっちを見ていました。
「そこへお掛けなさい。」
 わたくしは警部の前に会釈して坐りました。
「君がレオーノ・キュースト君か。」警部は云いました。
「そうです。」
「職業、官吏、位階十八等官、年齢、本籍、現住、この通りかね。」警部はわたしの名やいろいろ書いた書類を示しました。
「そうです。」
「ではたずねるが、君はテーモ氏の農夫ファゼーロをどこへかくしたか。」
「農夫のファゼーロ?」わたくしは首をひねりました。
「農夫だ。十六歳以上は子どもでも農夫だ。」警部は面倒くさそうに云いました。
「君はファゼーロをどこかへかくしているだろう。」
「いいえ、わたくしは一昨夜競馬場の西で別れたきりです。」
うそを云うとそれも罪に問うぞ。」
「いいえ。そのときは二十日の月も出ていましたし野原はつめくさのあかりでいっぱいでした。」
「そんなことが証拠しょうこになるか。そんなことまでおれたちは書いていられんのだ。」
「偽だとお考えになるならどこなりとお探しくださればわかります。」
「さがすさがさんはこっちの考えだ。お前がかくしたろう。」
「知りません。」
「起訴するぞ。」
「どうでも。」二人は顔を見合せました。
「では訊ねるが君はどういうことでファゼーロと知り合いになったか。」
「ファゼーロがわたくしの遁げた山羊をつかまえてくれましたので。」
「うん。それはいつ、どこでだ。」
「五月のしまいの日曜、二十七日でしたかな。」
「うん。二十七日。どこでだ。」
「あれは何という道路ですか。教会の横から、村へ出る道路を一キロばかり行った辺です。」
「うん。おまえは二十七日の晩ファゼーロと連れだって村の園遊会へ闖入ちんにゅうしたなあ。」
「闖入というわけではありませんでした。明るくていろいろの音がしますので行って見たのです。」
「それからどうした。」
「それからわたくしどもが酒を呑まんと云いますとテーモが怒ったのです。」
「テーモはお前とはいつから知り合いか。」
「ファゼーロと知り合いになったときです。そのときテーモはファゼーロが仕事に行く時間をわたくしが邪魔したといって革むちをわたくしの顔の前で鳴らしました。」
「それだけか。」
「はい。」
「園遊会でそれからどういうことになったか。」
 わたくしはそこであのポラーノの広場での出来事を全部話しました。一人はそれをどんどん書きとりました。警部が云いました。
「きみはファゼーロの居ないことをさっきまで知らなかったか。」
「はい。」
「何か証拠を挙げられるか。」
「はい、ええ、昨日と今日役所での仕事をごらん下さればわかります。わたくしはあれですっかりかたが着いたと思ってせいせいして働いていたのであります。」
「それも証拠にはならん。おい、君、白っぱくれるのもいい加減にしたまえ。テーモ氏から捜索願が出ているのだ。いま君がありかを云えば内分で済むのだ。でなけぁ、きみの為にならんぜ。」
「どうも全く知らないのです。まあ、あなたがたもご商売でしょうが、わたくしの声や顔付きをよくごらんください。これでおわかりにならんのですか。」わたくしは少ししゃくにさわって一息に云いました。
 すると二人はまた顔を見合せました。ええもうなるようになれとわたくしはまた云いました。
「なぜわたくしより前にデストゥパーゴを呼び出してくださらんのです。誰が考えてもファゼーロの居ないのはデストゥパーゴのしわざです。まさか殺しはしますまいが。」
「デストゥパーゴ氏は居らん。」
 わたくしはどきっとしました。ああファゼーロは本気かあるいは間ちがって殺されたのかもしれない。警部が云いました。
「お前の申し立てはいろいろの点でテーモ氏の申し立てとちがっている。しかしわれわれはそれは当然だろうと考える。いま調書を読むから君の云ったところとちがった所がないかよくききたまえ。」一人は読みはじめました。
「ちがいありません。」私はファゼーロのことを考えながら上の空で答えました。
「ここへ署名したまえ。」
 わたくしは書類のはじへ書きました。もうどうしても心配で心配でたまらなくなったのです。
「では帰ってよろしい。明日また呼ぶから。」警部は云いました。
 わたくしはたまらなくなりました。
「ファゼーロはどうしたんです。なぜデストゥパーゴをつかまえんのです。」
「それを君が云うことはならん。」
「だってファゼーロはどうしたんです。」
「そんなに心配なら君もさがしたまえ。さあ帰り給え。」
 二人はもう疲れて早くやめたいという風でした。わたくしはもうあかりのついていた警察署を夢中で飛びだしました。すると出口の桜の幹に、その青い夕方のもやのなかに、ロザーロがしょんぼりよりかかって、かなしそうに遠いそらを見ていました。わたくしは思わずかけよりました。
「あなたはロザーロさんですね。わたくしはどこへさがしに行ったらいいでしょう。」
 ロザーロが下を見ながら云いました。
「きっと遠くでございますわ。もし生きていれば。」
「わたくしがいけなかったんです。けれどもきっとさがしますから。」
「ええ。」
「デストゥパーゴはいないんですか。」
「いないんです。」
「馬車別当は?」
「見ませんでした。」
「あなたのご主人は知っていないんですか。」
「ええ。」
「捜索願をわざと出したのでしょう。」
「いいえ。警察からも人が来てしらべたのです。」
「あなたはこれから主人のとこへお帰りになるんですか。」
「ええ。」
「そこまでご一緒いたしましょう。」
 わたくしどもはあるきだしました。わたくしはいろいろ話しかけて見ましたが、ロザーロはどうしてもかなしそうで一言か二言しか返事しませんので、わたくしはどうしてももっと立ち入ってファゼーロと二人のことに立ち入ることができませんでした。そしてこの前山羊をつかまえた所まで来ますと、ロザーロは、
「もうじきですから。」と云ってじぶんからおじぎをして行ってしまいました。
 わたくしはさびしさや心配で胸がいっぱいでした。そしてその晩から毎晩毎晩野原にファゼーロをさがしに出ました。日曜日にはひるも出ました。ことにこの前ファゼーロと別れた辺からテーモの家までの間に何か落ちてないかと思ってさがしたり、つめくさの花にデストゥパーゴやファゼーロのあしあとがついていないかと思って見てまわったり、デストゥパーゴの家から何か物音がきこえないかと思って幾晩も幾晩もそのまわりをあるいたりしました。
 前の二本の樺の木のあたりからポラーノの広場へも何べんも行きました。そのうちにつめくさの花はだんだん枯れて茶いろになり、ポラーノの広場のはんの木には、ちぎれて色のさめたモールが幾本かかかっているだけ、ミーロにさえも会いませんでした。警察からはあと呼び出しがありませんでしたので、こっちから出て行ってどうなったかきいたりしましたが警察ではファゼーロもデストゥパーゴも、まだ手がかりはないが心配もなかろうというようなことばかり云うのでした。そしてわたくしも、どういうわけか、なれたのですか、つかれたのですか、ファゼーロはファゼーロで、ちゃんとどこかにいるというような気がしてきたのです。

       五、センダード市の毒蛾

 そしてだんだん暑くなってきました。役所では窓に黄いろな日覆ひおおいもできましたし隣りの所長の室には電気会社から寄贈になった直径七デシもある大きな扇風機もえつけられました。あまり暑い日の午後などは所長が自分で立って間の扉をあけて、
「さあ諸君、少し風にあたりたまえ。」なんて云ったものです。
 すると大扇風機から風がどうどうやって来ました。もっとも私の席はその風の通り路からすこし外れていましたから格別涼しかったわけでもありませんでしたが、それでも向うの書類やテーブルかけが、ぱたぱた云っているのを見るのは実際愉快なことでした。それでもそんな仕事のあいまに、ふっとファゼーロのことを思いだすと、胸がどかっと熱くなってもうどうしたらいいかわからなくなるのでした。とにかくその七月いっぱいに私のした仕事は、
一、北極熊剥製はくせい方をテラキ標本製作所に照会の件
一、ヤークシャ山頂火山弾運搬費用見積みつもりの件
一、植物標本褪色たいしょく調査の件
一、新番号札二千三百枚調製の件

 などでした。
 そして八月に入りました。その八月二日の午すぎ、わたくしが支那漢時代の石に刻んだ画の説明をうつらうつら写していましたら、給仕がうしろからいきなりわたくしの首すじを突っついて、
「所長さんが来いって。」といいました。
 わたくしはすこしむっとしてふり返りましたら給仕はまた威張って云いました。
「所長さんがすぐ来いって。」
 わたくしは返事もしないでだまってみんなの椅子のうしろを通り、例の扉をあけて恭※(二の字点、1-2-22)しくはいって行きました。
 所長は肥った白い手首に※(「月+咢」、第3水準1-90-51)をもたせて扇風機にあたりながら新聞を見ていましたが、わたくしが行くとだるそうにちょっと眼をあげて、それから机の上の紙挾みから一枚の命令書をわたくしによこしました。それには、
「海岸鳥類の卵採集の為に八月三日より二十八日間イーハトーヴォ海岸地方に出張を命ず。」
 と書いてありました。わたくしはまるでほくほくしてしまいました。
 あのイーハトーヴォの岩礁の多い奇麗きれいな海岸へ行って今ごろありもしない卵をさがせというのはこれは慰労いろう休暇のつもりなのだ。それほどわたくしが所長にもみんなにも働いていると思われていたのか、ありがたいありがたいと心の中で雀躍じゃくやくしました。すると所長は私の顔は少しも見ないで、やっぱり新聞を見ながら、
「会計へまわって見積みつもり旅費を受けとるように。」と一言だけ云いました。
 わたくしは叮嚀ていねいに礼をして室を出ました。それからその辞令をみんなに一人ずつ見せて挨拶してあるき、おしまいに会計に行きましたら、会計の老人はちょっと渋い顔付きはしていましたが、だまってわたくしの印を受け取って大きな紙幣を八枚も渡してくれました。ほかに役所の大きな写真器械や双眼鏡も借りました。うちへ帰ると、わたくしは持っていたレコードをみんな町の古時計屋へ売ってしまいました。そして大きなへりのついたパナマの帽子と卵いろのリンネルの服を買いました。
 次の朝わたくしは番小屋にすっかりかぎをおろし、一番の汽車でイーハトーヴォ海岸の一番北のサーモの町に立ちました。その六十里の海岸を町から町へ、みさきから岬へ、岩礁がんしょうから岩礁へ、海藻かいそうを押葉にしたり、岩石の標本をとったり、古い洞穴や模型的な地形を写真やスケッチにとったり、そしてそれを次々に荷造りして役所へ送りながら、二十幾日の間にだんだん南へ移って行きました。海岸の人たちはわたくしのような下給の官吏でも大へん珍らしがって、どこへ行っても歓迎してくれました。沖の岩礁へ渡ろうとすると、みんなは船に赤や黄の旗を立てて十六人もかかってをそろえて漕いでくれました。夜にはわたくしの泊った宿の前でかがりをたいて、いろいろな踊りを見せたりしてくれました。たびたびわたくしはもうこれで死んでいいと思いました。けれどもファゼーロ、あの暑い野原のまんなかでいまも毎日はたらいているうつくしいロザーロ、そう考えて見るといまわたくしの眼のまえで一日一ぱいはたらいてつかれたからだを、踊ったりうたったりしている娘たちや若者たち、わたくしは何べんも強く頭をふって、さあ、われわれはやらなければならないぞ、しっかりやるんだぞ、みんなのために、とひとりでこころに誓いました。
 そして八月三十日の午ごろ、わたくしは小さな汽船でとなりの県のシオーモの港に着き、そこから汽車でセンダードの市に行きました。三十一日わたくしはそこの理科大学の標本をも見せて貰うように途中から手紙をだしてあったのです。わたくしが写真器と背嚢はいのうをたくさんもってセンダードの停車場に下りたのは、ちょうど灯がやっとついた所でした。わたくしは大学のすぐ近くのホテルからの客を迎える自動車へほかの五六人といっしょに乗りました。採って来たたくさんの標本をもってその巨きな建物の間を自動車で走るとき、わたくしはまるで凱旋がいせんの将軍のような気がしました。ところがホテルへ着いて見ると、この暑いのに窓がすっかり閉めてあるのです。室へ通されてみると仲々むし暑いので、わたくしは給仕に、
「おい、どうしたんだ。窓をあけたらいいじゃないか。」と云いました。
 すると給仕はてかてかの髪をちょっと撫でて、
「はい、誠にお気の毒でございますが、当地方には、毒蛾どくががひどく発生して居りまして、夕刻からは窓をあけられませんのでございます。只今、扇風機を運んで参ります。」と云ったのでした。
 なるほど、そう云って出て行く給仕を見ますと、首にまるで石の環をはめたような厚い繃帯をして、顔もだいぶはれていましたから、きっと、その毒蛾に噛まれたんだと、私は思いました。ところが、間もなく隣りの室で、給仕が客と何か云い争っているようでした。それが仲々長いし烈しいのです。私は暑いやら疲れたやら、すっかりむしゃくしゃしてしまいましたので、今のうち一寸床屋へでも行って来ようと思って室を出ました。そして隣りの室の前を通りかかりましたら、扉が開け放してあって、さっきの給仕がひどく悄気て頭を垂れて立っていました。向うには、髪もひげもまるで灰いろの、肥ったふくろうのようなおじいさんが、安楽椅子にぐったり腰かけて、扇風機にぶうぶう吹かれながら、
「給仕をやっていながら、一通りのホテルの作法も知らんのか。」とほおをふくらして給仕を叱りつけていました。
 私は、ははあ扇風機のことだなと思いながら、苦笑いをしてそこを通り過ぎようとしますと、給仕がちょっとこっちを向いて、いかにも申し訳ないというように眼をつぶって見せました。私はそれですっかり気分がよくなったのです。そして、どしどし階段を踏んで、通りに下りました。
 なるほど、毒蛾のことがわかって町をあるくと、さっき停車場からホテルへ来る途中、いろいろ変に見えたけしきも、すっかりもっともと思われたのです。人道にはたくさんたき火のあとがありましたし、みんなは繃帯をしたり白いきれで顔を擦ったりしながら歩いていました。また並木のやなぎにいちいち石油ランプがぶらさがっていたのです。私は一軒の床屋に入りました。それは仲々大きな床屋でした。向側の鏡が、九枚も上手に継いであって、店が丁度二倍の広さに見えるようになって居り、糸杉やこめとがの植木鉢がぞろっとならび、親方らしい隅のところで指図をしている人のほかに職人がみなで六人もいたのです。すぐ上の壁に大きながくがかかって、そこにそのうちの四人の名前が理髪アーティストとして立派にならび、二人は助手として書かれていました。
「おぐしはこの通りの型でよろしゅうございますか。」私が鏡の前の白いきれをかけた上等の椅子に坐ったとき、そのうちの一人が私にたずねました。
「ええ。」私はもう明日は帰るイーハトーヴォの野原のことを考えながらぼんやり返事をしました。
 するとその人は向うで手のあいているもう二人の人たちを指で招きながら云いました。
「どうだろう。お客さまはこの通りの型でいいと仰っしゃるが、君たちの意見はどうだい。」
 二人は私のうしろに来て、しばらくじっと鏡にうつる私の顔を見ていましたが、そのうち一人のアーティストが、白服の腕を組んで答えました。
「さあ、どうかね、お客さまのお※(「月+咢」、第3水準1-90-51)が白くて、それに円くて、大へん温和おとなしくいらっしゃるんだから、やはりオールバックよりはネオグリークの方がいいじゃないかなあ。」
「うん。僕もそう思うね。」も一人も同意しました。私の係りのアーティストが、おれもそうおもっていたというようにうなずいて、私に云いました。
「いかがでございます、ただいまのおぐしの型よりは、ネオグリークの方がお顔と調和いたしますようでございますが。」
「そうですね、じゃそう願いましょうか。」私も丁寧に云いました。なぜならこの人たちはみんな立派な芸術家だとおもったからです。
 さて、私の頭はずんずん奇麗になり、疲れも大へん直りました。これなら、今夜よくやすんで、あしたは大学のあの地下になっている標本室で、向うの助手といちにち暮しても大丈夫だと思って、気持ちよく青い植木鉢や、アーティストの白い指の動くのや、チャキチャキ鳴るはさみの影をながめて居りました。
 するとにわかに私の隣りの人が、
「あ、いけない、いけない、押えてくれたまえ。畜生、畜生。」とひどく高い声で叫んだのです。
 びっくりして私はそっちを見ました。アーティストたちもみなせ集ったのです。その叫んだ人は、それこそはひげを片っ方だけ剃ったままで大へんせては居りましたが、しかしたしかにそれはデストゥパーゴです。わたくしはめたとおもいました。デストゥパーゴはわたくしなぞ気がつかずに、まだ怖ろしそうに顔をゆがめていました。
「どこへさわりましたのですか。」
 さっきの親方のアーティストが麻のモーニングを着て、大きなフラスコを手にしてみんなを押し分けて立っていました。そのうちに二三人のアーティストたちは、押虫網でその小さな黄色な毒蛾をつかまえてしまいました。
「ここだよ、ここだよ。早く。」と云いながら、デストゥパーゴは左の眼の下を指しました。
 親方のアーティストは、大急ぎで、フラスコの中の水を綿にしめしてその眼の下をこすりました。
「何だいこの薬は。」デストゥパーゴが叫びました。
「アンモニア二%液。」と親方が落ち着いて答えました。
「アンモニアは効かないって、今朝の新聞にあったじゃないか。」
 デストゥパーゴは椅子から立ちあがりました。デストゥパーゴは桃いろのシャツを着ていました。
「どの新聞でご覧です。」親方は一層落ちついて答えました。
「センダート日日新聞だ。」
「それは間違いです。アンモニアの効くことは県の衛生課長も声明しています。」
「あてにならん。」
「そうですか。とにかく、だいぶれて参ったようです。」
 親方のアーティストは、少ししゃくにさわったと見えて、プイッとうしろを向いて、フラスコを持ったまま向うへ行ってしまいました。デストゥパーゴは、ぷんぷん怒りだしました。
「失敬じゃないか、あしたは僕は陸軍の獣医官たちと大事な交際があるんだぞ。こんなことになっちゃ、まるで向うの感情を害するばかりだ。きさまの店を訴えるぞ。」と云いながら、ずんずん赤くはれて行く頬を鏡で見ていました。
 親方も、むかっ腹を立てて云いました。
「なあに毒蛾なんか、市中到る処に居るんだ。町をあるいてさわられたら市長でも訴えたらよかろうさ。」
 デストゥパーゴは、渋々、又椅子に坐って、
「おい、早くあとをやってしまって呉れ。早く。」と云いました。そして、しきりに変な形になって行く顔を気にしながら、残りの半分のひげを剃らせていました。
 わたくしも急ぎました。けれどもたしかにわたくしの方が早く済むのです。それでも向うがさきに済んだら、こっちもすぐ立とうと思ってそっと財布をさぐって、大きな銀貨を一枚もって握っていました。ところがどういうわけか、私より私のアーティストがもっと急いで居りました。そしてしきりに時計を見ました。
 まるで私の顔などは、三十五秒ぐらいで剃ってしまったのです。
「さあお洗いいたしましょう。」
 私はデストゥパーゴに知れないように、手で顔をかくしながら大理石の洗面器の前に立ちました。
 アーティストは、つめたい水でシャアシャアと私の頭を洗い時々は指で顔もぬぐいました。
 それから、私は、自分で勝手に顔を洗いました。そして、も一度椅子にこしかけたのです。
 その時親方が、
「さあもう一分だぞ。電気のあるうちに大事なところは済ましちまえ。それからアセチレンの仕度はいいか。」
「すっかり出来ています。」小さな白い服の子供が云いました。
「持って来い。持って来い。あかりが消えてからじゃ遅いや。」親方が云いました。
 そこでその子供の助手が、アセチレン燈を四つ運び出して、鏡の前にならべ、水を入れて火をつけました。烈しく鳴って、アセチレンは燃えはじめたのです。その時です。あちこちの工場の笛は一斉に鳴り、子供らは叫び、教会やお寺の鐘まで鳴り出して、それから電燈がすっと消えたのです。電燈のかわりのアセチレンで、あたりがすっかり青く変りました。
 それから私は、鏡に映っている海の中のような、青い室の黒く透明なガラス戸の向うで、赤い昔の印度をしのばせるような火が燃されているのを見ました。一人のアーティストが、そこでしきりにまきを入れていたのです。
「今夜は、毒蛾も全滅だな。」誰か向うで云いました。
「さあどうかねえ。」私のとこのアーティストは、私の頭に、金口の瓶から香水をかけながら答えました。
 それからアーティストは、私の顔をも一度よく拭って、それから戸口の方をふり向いて、
「ちょっと見て呉れ。」と云いました。アーティストたちは、あるいは戸口に立ち、あるいはたき火のそばまで行って、外の景色をながめていましたが、この時大急ぎでみんな私のうしろに集まりました。そして鏡の中の私の顔を、それはそれは真面目な風で検べてから、
「いいようだね。」と云いました。
 私はそこで椅子から立ちました。しっかり握っていて温くなった銀貨を一枚払いました。そしてその大きなガラスの戸口を出て通りに立ちました。デストゥパーゴのあとをつけようとおもったのです。
 そこへ立って私は、全く変な気がして、胸の躍るのをやめることができませんでした。それはあのセンダードの市の大きな西洋造りの並んだ通りに、電気が一つもなくて、並木のやなぎには、黄いろの大きなランプがつるされ、みちにはまっ赤な火がならび、そのけむりはやさしい深い夜の空にのぼって、カシオピイアもぐらぐらゆすれ、琴座もおぼろにまたたいたのです。どうしてもこれは遙かの南国の夏の夜の景色のように思われたのです。私は、店のなにかのぞきながら待っていました。いろいろな羽虫が本当にその火の中に飛んで行くのも私は見ました。向うでもこっちでも繃帯をしたり、きれを顔にあてたりしながら、まちの人たちが火をたいていました。
 そのうちに、私は向うの方から、高い鋭い、そして少し変な力のある声が、私の方にやって来るのを聞きました。だんだん近くなりますと、それは頑丈がんじょうそうな変に小さな腰の曲ったおじいさんで、一枚の板きれの上に四本の鯨油げいゆ蝋燭ろうそくをともしたのを両手に捧げてしきりにう叫んで来るのでした。
「家の中の燈火を消せい。電燈を消してもほかのあかりを点けちゃなんにもならん。家の中のあかりを消せい。」
 あかりをつけている家があると、そのおじいさんはいちいちその戸口に立って叫ぶのでした。
「家の中のあかりを消せい。電燈を消してもほかのあかりをつけちゃなんにもならん。家の中のあかりを消せい。」
 その声はガランとした通りに何べんも反響してそれから闇に消えました。
 この人はよほどみんなに敬われているようでした。どの人もどの人もみんな丁寧におじぎをしました。おじいさんはいよいよ声をふりしぼって叫んで行くのでした。
「家のなかのあかりを消せい。電燈を消してもほかのあかりをつけちゃなんにもならん。家の中のあかりを消せい。いや、今晩は。」
 叫びながら右左の人に挨拶を返して行くのでした。
「あの人は何ですか。」私は火にあたっているアーティストにたずねました。
撃剣げつけんの先生です。」

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