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太平洋雷撃戦隊(たいへいようらいげきせんたい)

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-8-25 6:31:06 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语


   目ざす×の大商戦隊
   わが頭の上にあり!


 鼻をつままれても判らぬような暗夜を、前進また前進です。海面は波立っているらしく、艦体がしきりにもまれます。
 第八潜水艦の艦長清川大尉は、司令塔の上に儼然と立ちつづけています。
「通信兵!」と艦長は呼びました。
「はッ」
「まだ旗艦からの無線電信は入らぬかッ」
「まだであります」
「そうか」
 人声も消えて、また元の、おっかぶさるような闇です。
 司令塔の下からは、あえぐようにエンジンの音が聞えてきます。機関兵たちは休息もとらず、ひたすらエンジンを守っています。
「通信兵!」
 とまた艦長が叫びました。
「はッ、ここにおります」
「まだ旗艦からの信号はないかッ」
「残念ながら、まだであります」
「そうか」
 艦長はまた口を閉じました。軽い溜息をついて、二三歩狭い司令塔の中にを移しました。
「艦長どの、報告」
 通信兵の側に立っていた伝令兵が、突然叫びました。
「おお、そうか」
「旗艦からの報告です」
 白い電信紙が、懐中電灯を持った艦長の手に渡りました。

「本艦ハ唯今、×国ノ商船隊ト覚シキモノヨリ発シタル無線電信ヲ受信シタリ。ヨリテ方向ヲ探知スルニ東南東ナリ。警戒セヨ」

「うむ」
 艦長は呻りました。
「いよいよ出あいますかな」
 近づいた先任将校が嬉しそうにいいました。
 この頃、×の商船隊は、わが潜水戦隊の旗艦が発見したように、パナマ運河を後にして、ハワイへ向け航行中でありました。日本潜水艦近くにありと知って、五隻からなる巡洋艦隊が厳重に守っています。夜に入ると、×の司令官は四十七隻から成る大商船隊をぐッと縮め、五列に並んだ商船と商船との左右の距離も非常に狭くなり、前後も出来るだけ寄りました。その前と後とに巡洋艦を一隻ずつおき、のこりの二艦は、いつも商船隊の周囲をまわりながら見張をするという用心ぶりです。
 無理もありません。この商船隊が無事にハワイへ着くと着かぬとでは、×国艦隊の力が非常にちがってくるのですから。
「艦長、いよいよ本艦は本隊と一緒になることが出来ました。本艦は今や第五番艦として列内に加わりました」と副長が説明をいたしました。
 とうとう、第八潜水艦は、本隊に帰りついたのです。水中聴音機が盛んに活躍して、旗艦との間に作戦上の打合わせが行われています。
「潜航三十メートル、一時機関停止ッ」
 いよいよ潜水戦隊は、海底深くもぐりこみました。

「×ノ商船隊ハ、今ヤ、本戦隊ノ頭上ヲ通過セントス。カネテノ作戦ニ基キ、各艦ハ連絡ヲ失ウコトナク、一挙ニシテ、×船隊ヲ撃滅スベシ」

 この命令が旗艦から発せられて間もなく、×の商船隊の先頭にある巡洋艦は、本隊の真上に達しました。爆沈させるのは何でもないけれども、唯今の任務は、巡洋艦よりも商船にあるのです。忍耐! また忍耐!
 やがて大商船隊は、機関の音もやかましく、頭上にさしかかって来ました。

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