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囲碁雑考(いござっこう)

作者:未知 文章来源:青空文库 点击数 更新时间:2006-9-4 9:16:31 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语


 

 庖犠は伏羲氏なり、網罟を創めたるの人。此段に至りて始めて碁の情を言ふ。虚設予置、以自衛護の八字、下し得て甚だ妙なり。碁の頭初の布局まことに網罟に似たり。

※防周起し、障塞漏決す。夏后治水の勢に似たるなり。

 夏后は禹、洪水を治めたるの人。※防周起は※蜒として勢を成すの状。障塞は己を衛るを云ひ、漏決は患を去るを云ふ。

○一孔閼(とゞ)むる有るも、壊頽振はず。瓠子汎濫の敗に似たる有り。

 閼は遏に通ず。一孔を遏むるも、敵勢洪大なれば、壊頽して救ふ可からず、大勢を如何ともする能はざるを言ふ。瓠子は即ち瓠子口にして、黄河の水を塞ぐの処、濮陽県の南に在り。漢武帝の時、黄河大に漲り、瓠子を決して、鉅野に注ぎ、淮泗に通じたることあり。我が陣将に敗れんとして、其命縷の如き時、死戦して緊防すれども、敵軍浩々蕩々たるに当つて終に敗るの状、真に此句の如きことあるなり。

○伏を作し詐を設け、囲を突いて横行す。田単の奇。

 兵を伏せて敵を誘ひ、奇を以て勝を制し、重囲を突破して、千里に横行する、痛快無比の状を叙せり。田単は斉の名将。重囲に陥りて屈せず、火牛の謀を以て燕の大軍を破り、日あらずして七十余城を回復せる也。

厄を要して相(あひ)※(おびや)かし、地を割かしめて賞を取る。蘇張の姿。

 厄は急厄なり、死生の分るゝ処即ち厄也。厄を要して※かせば、敵其の死せざらんことを欲して、地を割くを辞せず、是相闘はずして能く奪ふもの也。蘇張は蘇秦張儀、皆兵馬を動かさず、弁舌を以て功を成せるもの。

○参分勝(まさ)る有つて、而して誅せず。周文の徳。

 参分勝る有るは天下を三分して其二を保有するを言ふ。周の文王、既に天下の実権を有して、而して敢て紂王を誅せず、益々徳を修めて自から固うす。碁の道、善く勝つ者、毎々是の如きの態ある也。

○逡巡儒行し、角を保ち旁に依り、却て自から補続す、敗るゝと雖も亡びず。繆公の智、中庸の方なり。

 逡巡は進まざるの貌、儒行は敢行勇為せざるなり。角を保ちは碁局の角を保つをいひ、旁に依りは碁局の辺旁に依るをいふ。大に覇を争はざるも、是の如くにして自から補続すれば、既に必ず死せざるの勢あるを以て、敗ると雖も亡びざる也。繆公は秦の繆公、西陲に拠有して、漸く其大を成せり。中庸の方は上智英略あらざるものの方策なるを言ふ也。

○上に天地の象有り、次に帝王の治あり、中に五覇の権有り、下に戦国の事有り。其の得失を覧れば、古今略(ほゞ)備はる。

 碁の道、局道棊布、天地の象あり。次に虚設予置するところ、古帝前王の治の如し。後に互に雄略大志あるところ、五覇の権有りといふべく、終に攻撃戦闘する、戦国の時の事の如し。故に其の得失の状を覧れば、古今の情状略具備すといふ也。


    三 囲棊賦  後漢 馬 融

○略囲棊を観るに、兵を用ゐるに法る。

 馬融は博学能文の大儒にして、盧植、鄭玄皆其の徒なり。

○三尺の局を、戦闘の場と為す。士卒を陳し聚めて、両敵相当る。

 三尺の局、今に比すれば大に過ぐ。又惟大概をいふのみ、深く怪むに足らず。

○怯者は功無く、貪者は先づ亡ぶ。

 怯者は惟守る、守れば則ち足らず。貪者は必ず昧し、昧ければ則ち禍を惹く。二句実に不磨の金言なり。

○先づ四道に拠り、角を保ち傍に依り、辺に縁(よ)り列を遮り、往々相望む。

 四道は四方と云はんが如し。碁局は四分すべき形勢有り、黒白各先づ四道に拠るをいふ。保角依傍は前に出づ。辺に縁るは字の如し、列を遮るは敵の列を遮る也。往々相望むは、敵と我と往々相対して同一形勢を取り、子と子と相望むが如き状あるをいふ。相莅むにはあらず、相望見する也。往々相望むの一句四字、無限の情趣有り。

○離々たる馬目、連々たる雁行。※度間置し、徘徊中央す。

 離々連々の二句、棊子の布置羅列の状をいふ。※度間置は棊子の相接せずして相助くるをいひ、徘徊中央は棊子のたゞ雌伏するのみならず、却て雄飛せんとするをいふ。二句妙致あり。

○死卒を収取し、相迎へ使(し)むる無し。食む当(べ)くして食まざれば、反つて其殃(わざはひ)を受く。

 当に食む可きを食まざれば、敵の死者復活きんとす。天の与ふるを取らざれば、反つて其殃を受く、この古語を一転して用ゐたり。

○雑乱交錯し、更に相度越す。

 雑乱は旗幟紛々として彼我酣闘する也。交錯は敵反つて吾が後を襲ひ、我反つて敵の後に出づるが如きをいふ也。度越は河を渡り塹を奪ひ、吶喊叱咤して戦ふ也。交相の二字、甚だ力有り、奮戦力闘の状、睹るが如きを覚ゆ。

○規を守る固からざれば、唐突する所と為る。

 陣営は厳密、まさに周亜父細柳の如くなるべし、然らずんば敵の猛將の奇襲突破するところとならん。

○深く入りて地を貪れば、士卒を殺亡す。

 長駆深入すれば、一旦糧竭き変生ずるの時、多く士卒を亡ふをいふ。

○狂攘して相救へば、先後并に没す。

 戦の危機は多し、就中吾が一支軍を救はんとする時、最も危機多し。救ひ得て善ければ勝ち、救ひ得ざれば乱る。狂攘して相救へば、前軍後軍、相倶に覆没す。将軍深謀妙計無かる可からざるの処たり。

○功を計りて相除し、時を以て早く訖る。

 功を計るは戦の応に終るべきを考ふる也、相除するは其の終を令(よ)くすることを為す也。時を以ては其の当に然るべきの時を以て也。早く訖るは智者之を能くす、昧者は終るところを知らず、此を以て其の訖るや彼の訖るところとなつて纔に訖る、悲む可き也。

○事留まれば変生ず、棊を拾ふ疾(すみや)かならんことを欲す。

 事遅留すれば変意外に生ず、故に疑似するところあるは、疾く之を収むるを要するなり。

○営或は窘乏するも、詐をして出でしむる無かれ。

 計営窘蹙困乏するも、卑劣なる奸詐の事を為す勿れと也。奕は小道なりと雖も、君子の此を玩ぶや、おのづから応に君子の態度あるべき也、小人の心術に出づる無かるべき也。

○深く念ひ遠く慮れば、勝乃ち必す可し。

 深念遠慮の四字、一篇を収拾し、勝乃ち必す可しといふ、結束し得て高朗。此篇囲棊の賦中の最古にして最妙なるもの。


 



底本:「日本の名随筆 別巻1・囲碁」作品社
   1991(平成3)年3月25日第1刷発行
   1992(平成4)年4月20日第5刷発行
底本の親本:「露伴全集 第十九巻」岩波書店
   1951(昭和26)年12月
入力:渡邉つよし
校正:門田裕志
ファイル作成:野口英司
2001年7月26日公開
青空文庫作成ファイル:
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●表記について

・本文中の「/\」は、二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)。

・本文中の「々」は、底本ではすべて二の字点 (面区点番号1-2-22)が使われている。

・本文中の※は、底本では次のような漢字(JIS外字)が使われている。

費※と来敏との羽檄交々馳する間に

第3水準1-91-80
袁※が棊を囲みながら、

第3水準1-90-28
晋の曹※、

第4水準2-13-58
魏の応※に奕勢の言あり、

第4水準2-80-85
緊※すべき者あり、
則ち先づ※ひ、

第4水準2-88-41
※防周起し、

第3水準1-93-60
※防周起は※蜒として勢を成すの状。

第3水準1-93-60、第4水準2-87-63
厄を要して相(あひ)※(おびや)かし、
厄を要して※かせば、
※度間置し、徘徊中央す。
※度間置は棊子の相接せずして

第4水準2-89-35

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