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断層顔(だんそうがん)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-25 6:32:25  点击:  切换到繁體中文


   意外な再生


 蜂葉は、それから数日経って、久しぶりに伯父とゆっくりと語る機会を迎えた。彼は待ちかねていた木田と碇の事件の結末を知りたいと伯父にいった。
「碇も木田氏も共に船員仲間だったんだね。桝形探険隊の出航の話を聞くと、二人で謀議して密航を企てた。そして三日目に見つかってしまった。君も知っているとおり、隊では検討の結果、あと一人だけ収容できるが、もう一人はだめと分った。そこで二人のどっちが残るかを抽籤で決めた。すると碇が勝籤かちくじを引いた。木田氏は負けたのさ。そして法規により木田は密航者として艇外へ追放されることになったが、彼を迎えるものは死であった。なぜといって地球を出発してから三日も経っているんだから、落下傘を身につけたところで、とても生きて地上には降りられないわけさ。
 木田の処理は交川博士に命じられた。博士は流星号の機械関係の最高権威なのだ。博士は木田を落下傘で下ろすかわりに、別の方法を取ろうと考えた。それは博士がかねて研究した人体を電気の微粒子に分解して電送することだ。これは百パアセント成功するとは保証されていなかったが、落下傘を背負って暗黒の天空へ捨てられるよりは、余程よほど生還の可能性が大きかった。このことは博士から木田に対して密談的に相談せられ、木田は同意した。そしてそれはその夜午後十一時から始められることになり木田と博士は、艇内の人々から完全に離れて博士の機械室にとじ籠った。
 そのうちに木田が変になりだした。彼は碇と共にさっき運命の抽籤をしたが、それはトランプでやったんだが、このときになって木田は、碇が前にトランプ詐術の名手であったことを思出したんだ。そこで今日の抽籤も、碇が手練の詐術によって勝札をつかんだものと思ったんだ。そこで碇を呪い、抽籤のやり直しを博士に訴えたんだが、これはもうどうにもならぬことだった。果して碇が詐術を使ったかどうか、証拠がないのだから、それに処置命令はもう出ている。博士は彼をなだめて、遂に仕事にかかった。博士は相手局としてかねて連絡のついている23XSY無電局を呼び出し、木田の身体を電気的に分解してその局あて電送したのだ。この作業がすんだのが午後十一時五十五分で、五十分かかったわけだ。ついでだからいうが、私はこれを『通信部報告書』で読んだが、そのときにこれが一つの手懸りであるのに気がついた。なぜといって、もしも木田に落下傘をつけさせて艇外へ放出するのなら、こんなに五十分間もかかるはずはない。だからこんなに手間取ったのは、それではない処理がとられたのに違いない。一体それは何だろうという疑いになり、それから報告書の欄外にある博士の鉛筆書きの文字に注意を向けたのだった。
 23XSYという記号は、すぐ無電局名だと分った。“いかさまだ”というのはよく分らなかったが、これはこんど木田氏から親しく話を聞くことが出来た。「要警戒勝者」という文字からは、気の毒な博士の最期のことを連想させた。これは私の勘だがね。君の軽蔑するあれさ。それはともかくも、私はこれに気がついたので、これは大変な事件だと思いその筋へ報告して置いたんだが、あの日私たちが一足遅れになってしまった。
 木田氏の身体は23XSY無電局で受信せられ、再び身体に組立てられたが、不幸にも送信機と受信機の調子が完全に合わなかったことと、運悪く当夜強い空電くうでんがあったために、再生の木田氏は、あんなに断層のある醜い顔、いびつな身体になってしまったんだ。しかし木田氏が生命を失わなかったことは祝福すべきだ。その木田氏は身体が恢復かいふくすると碇曳治に恨みをかえさないではいられなかった。これは誰にでも了解できることだろう。彼は醜い顔ゆえに、極力きょくりょく人目をさけながらも、碇の行方を探し、そして遂に探しあてて彼の身辺を狙うようになったんだ。それをシズカ夫人が誤解して、夫人自身が怪人につけ狙われていると感じたんだ。――そのあとは、君の知っているとおりだ。うん、それからもう一つ、シズカ夫人のことだが、あの夫人は昔、碇と木田の両方から想われていたんだそうな、そして始めは木田の方が好きだった。ところが木田は行方不明になる。それから碇の方は探険から帰って来て英雄だとはやされる。その碇がシズカ夫人につきまとう。そんなだんどりで二人は同棲することになってしまったという。このことについて、私はおせっかいながら一つの結末を考慮中だ」

 老探偵が何を考慮中だったのか、それは後になって、谷間シズカが端麗な若者と結婚したのによって知れる。
 その若者は、旧知の人々からは「永らく行方不明を伝えられた木田健一が、ひょっくり戻って来て、昔の恋中の谷間シズカと結婚した」といわれている。
 これについて老探偵のやったおせっかいというのは、例の無電局の江川技師に頼み込み、木田の身体をもう一度分解して空間へ電波として送り出し、それを別の局で受信してもう一度木田氏の身体を組立て直したのであった。そのとき江川技師の並々ならぬ努力によって、木田の顔面と身体の歪みを直すと共に、混入していた空電をすっかり除去した。その結果、木田は若々しい美青年に戻ることが出来たそうである。
 昭和も五十何年だから、こんなことが出来る。三十年前には、夢にも思いつかなかったことだ。そうではないか。





底本:「海野十三全集 第13巻 少年探偵長」三一書房
   1992(平成4)年2月29日第1版第1刷発行
初出:「探偵よみもの」
   1947(昭和22)年10月号
入力:tatsuki
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年6月5日作成
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