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大空魔艦(たいくうまかん)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-25 6:23:12  点击:  切换到繁體中文

底本: 海野十三全集 第9巻 怪鳥艇
出版社: 三一書房
初版発行日: 1988(昭和63)年10月30日
入力に使用: 1988(昭和63)年10月30日第1版第1刷
校正に使用: 1988(昭和63)年10月30日第1版第1刷

 

 模型飛行機


 丁坊ていぼうという名でよばれている東京ホテルの給仕君きゅうじくんほど、飛行機の好きな少年はめずらしいであろう。
 丁坊は、たくさんの模型飛行機をもっている。みんなで五六十台もあろうか。これはみな丁坊が自分でつくったのだ。
 航研機こうけんきもある。ニッポン号もある。ダグラスやロックヒードの模型もみんな持っているのだ。
「おい、丁坊。ベルリンから来た新聞に、こんな新しい飛行機の写真が出ているぜ」
 などと、ホテルのボーイちょう長谷川はせがわさんは、外国から来る新聞によく気をつけていて、珍らしい写真があると、それを丁坊に知らせてくれるのだった。
「ふふん、これは素敵すてきだ。プロペラが四つもついていらあ。――長谷川さん、どうもありがとう」
 そうお礼をいって、丁坊は新聞を穴のあくほど見つめているが、それから一週間ぐらいつと、丁坊は大きな叫び声をあげて、ホテルの裏口からとびこんでくる。
「長谷川さんはどこにいるの。うわーい、新しい飛行機が出来たい」
 丁坊は、手づくりのその模型をボーイ長の鼻の先へもっていっておどろかせる。
「うーむ、これは何処で買ってきたんだい」
「買ったんじゃないよ。僕が一週間かかってこしらえちゃったんだい」
「あはっはっはっ。うそをつけ、子供にこんな立派な細工が出来るものかい」
 と、ボーイ長は本当にしない。
 そこで丁坊はいかって、それじゃ僕の腕前を見せてやろうというので、この頃はホテルの中で身体からだいたとき、せっせと模型飛行機をつくっている。
 ホテルで丁坊がもうけたお金のその半分は、模型飛行機材料を買うためになくなってしまう。
 丁坊の家族は、お母さんがただひとりいるきりだ。お父さんは、今から十年ほど前、なくなった。このお母さんという人が変っていて、丁坊が飛行機模型をつくるのに、ホテルで儲けた尊いお金の半分をつかってしまうので、さぞおおこりなんだろうと思っていると、そうではない。
丁太郎ていたろう(これが丁坊の本名だ)は飛行機がすきなんだし、それに手も器用なんですから、わたくしは飛行機づくりならいくらでもおやり、お母さんはしからないからねといっているのでございますよ」
 と、お母さんはすましたものである。
「いえね、それにうちの丁太郎は自分で働いて儲けたお金で好きな細工をやっているんですから、云うことはありませんよ。これからの世界は、わたくしたちの昔とはちがいますよ。役に立つことにはどんどんお金をつかわないと、えらい人にはなれませんよ」
 と、お母さんは近所の奥さんに話をして、とくいのように見えた。こんなふうだから、丁坊はいよいよ飛行機模型づくりに熱心になって、三間みましかないお家の天井という天井には、いまでは大小さまざまの飛行機模型がずらりとぶらさがっていて、風にゆらゆらゆらいでいる。だからはえなどは、それにおどろいて、丁坊の家に入ってきても、すぐ逃げていってしまう。
 このような丁坊の飛行機好きが、後になって、大変なさわぎを起そうなどとは、当人はもちろん丁坊を眼の中に入れても痛くないというほど可愛かわいがっているお母さんにも、まったくわかっていなかったろう。

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