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大空魔艦(たいくうまかん)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-25 6:23:12  点击:  切换到繁體中文


   あやしき爆音ばくおん


 丁坊はすっかり隊員のなかの人気者となった。隊長のお声がかりで、新しい防寒服はすぐ出来たし、その上、毛皮がそとについている防寒帽をつくってもらうやら、靴もエスキモーにならって外を魚の皮でつくり、内にはやはり毛皮を張ってあるものを貰うようにしてたいへんな可愛がられようであった。
「ああ嬉しいなあ。僕、まるで日本に帰ったような気がする」
 そういって丁坊がねまわれば、隊員もそれを見てにこにこ顔であった。
 しかしここは氷上の避難住居である。船もなければ、そりもない。到底とうてい日本へはかえれまい。丁坊はそれをはっきり知らないのだろうと、蔭で涙ながして気の毒がる隊員もあった。
 隊長大月大佐は、丁坊の進言によって、空魔艦の根拠地へむけて遠征する計画をたてはじめた。
 幸いに、食料は三十日間だけあり、武器も弾丸の数にして五千発ばかりあったので、これなら一戦やれると見込がついた。
 隊員のなかから、十五名を選んで遠征隊員として、のこり五名をここにのこして置いて、予備隊とする。
 その一方、沈みゆく若鷹丸から持ち出した電波の無線機械を至急修理して、内地と連絡できるようにせよという命令が出て、無線班は食事も忘れて、しきりに器械をいじっていた。
「どうだ、松川学士まつかわがくし。遠征隊は何日いつ出発できるだろうか」
 と、大月大佐は、若い副隊長の松川彦太郎学士にたずねた。
「今のところ、どんなに急いでも、明日あすの朝になりますね」
「そうか。やっつけるなら、早い方がいい、急いでくれ」
「承知しました。急ぎましょう」
 隊員は、さらに急がしくなった。
 いつの間にが傾いたのか、よくわからなかったが、既にして夕刻となり、あたりはもううすぐらくなりかけた。
 空の遠くには、まだ極光が現れ、そのうつくしい七色の垂れ幕がしずかに動いてゆく。
 そのとき空の一角から、轟々ごうごうと爆音がひびいてきた。
「ああ、空魔艦だ」
 まっさきに気がついて飛びだしたのは、丁坊であった。
「なに、空魔艦?」
 隊員はおどろいて天幕テントの外に出た。
 なるほど、真北の空、地上から約五千メートルと思われる高空に、空の怪物大空魔艦がうかび、しずしずこっちへ近づいてくる。
 大月大佐も、天幕の外にとんで出たが、このとき叫んだ。
「おい。大急ぎで天幕のなかに隠れろ。こっちの姿を見せてはならぬぞ。早くしろ」
 隊長の命令で隊員一同は天幕のなかに走りこんだ。
 息をこらしてまつほどに、爆音はいよいよ大きくいよいよ近づき、天幕はびりびりと振動をはじめた。
「あっ、空魔艦の腹から、なにか黒いものがとびだしたぞ」
 と天幕の裂け目から望遠鏡で空をのぞいていた隊員の一人が叫んだ。
「そうか。それは爆弾だぜ」
「爆弾! あっ落ちてくる。ぐんぐんこっちへ近づいてくるぜ。これはいけねえ」
 望遠鏡をもった隊員は叫ぶ。


   試練の嵐


 空魔艦のなげおろす爆弾は、いよいよ氷上にぶつかった。
 どどーン、ぐわーン、ぐわーン。
 ずしんずしんごごごーっ。
 あっちにこっちに、硬い氷をやぶって吹雪のような氷片がとぶ。
 まっくろな硝煙は、氷上をなめるようにう。
 実におそろしい光景がいくたびとなく、くりかえされた。
 隊員は、声をからして、おたがいにはげましあった。
 この猛烈な爆撃に、探険隊の天幕テントなどは、一ぺんにふきとんでしまった。隊員のなかにも、怪我人けがにんがそれからそれへと現れ、流血は氷上をあかくいろどった。
 空魔艦は、都合三十個の爆弾をおとし、天幕がすっかりふきとび、怪我人が相当出たのをたしかめると、機首をかえして元来た北の空に姿をかくした。
 こうして危難はひとまず去った。
 大月大佐は、すぐさま人員点呼をおこなうとともに天幕の中にあった食料などをしらべた。
 怪我人は八名、死者は二名。
 食料品などが半分ばかり氷の下におちてしまった。
 かなりの損害であった。
 探険隊の運命はどうなるのか、たいへん心ぼそいことになった。
 その夕方、さわぎが一段かたづいたところで、大月大佐は隊員をあつめ、あらためてこれから探険隊のすることを相談した。
「やっぱり、はじめ考えたとおり、空魔艦の根拠地へ攻めてゆきましょう」
 と、まっさきにいったのは丁坊少年だ。
「だが、食料は半分になったし、死傷は十名にのぼる。これではとてもつよい決死隊をつくるわけにはゆかない」
 と、他の隊員が元気のないことをいった。
 すると大月大佐は、ぬっと立ちあがり、
「隊員のかずがすくなくなっても、日中戦争の徐州じょしゅう攻略のときのように、うまい作戦をたてれば成功することもあるんだ。よし、やっぱり決死隊を作って一か八か攻めてゆこう」
「それがいい。ばんざーい」
 と、元気のいい隊員は両手をあげて、隊長の考えに賛成した。
「うむ、それではこれから作戦を考えよう。人数はすくなくとも、必ず成功するという戦法をみんなで考えだすのだ」
 夜をとおして、みんなが智恵をしぼったあげく、これならまず大丈夫という作戦がきまった。
 そこでいよいよ決死隊のかおぶれがはりだされたが、隊員の数は、前より五名減って、十人となり、怪我をした者はみな天幕に留守番をすることとなった。もちろん決死隊長は大月大佐であり、大佐は甲組四名をひきつれてゆくこととし、松川学士は乙組四名をひきつれ、二隊になって進むこととなった。
 丁坊は乙組になった。

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