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豆潜水艇の行方(まめせんすいていのゆくえ)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-26 6:32:48  点击:  切换到繁體中文


   警戒の目


 豆潜水艇をつんだトラックは、いま国道をどんどん西の方へ走っていきます。
 国道には、おまわりさんが、交番の中から、じっと夜の番をしていました。
 もし、国道をあやしいものがとおれば、「とまれ!」と命令して、しらべるつもりでありました。
 お巡りさんの前を、豆潜水艇をのせたトラックは、すこしもとがめられないで、通りすぎていきました。
 その次の交番でも、やはりおなじように、通りすぎました。
 なにしろ、お巡りさんが見ても、憲兵けんぺいさんが見ても、造船学の大家が見ても、まさかトラックのうえに豆潜水艇がのっていると、気がつくわけがありません。
 それもそのはずです。そのトラックの上にあるのは、どう見てもバスとしか見えません。まさかその下に、豆潜水艇がかくれていようなどとは、神さまだって気がつかないでしょう。
 トラックは、どんどん国道を西に走りつづけます。
 豆潜水艇は、トラックのうえで、ごとんごとんと、ゆれています。
 トラックの運転台では、運転手と、その横にのっているトニーという外人とが、英語で話をはじめました。
「トニーの旦那、ちょっとうしろを、みてください」
「なんだって、うしろをみろというのかね」
「なんだか、うしろでごとんごとんといっているが、大丈夫ですかい」
「なに、ごとんごとんといっているって。あ、そうか。ひょっとしたら、豆潜水艇が、車の上からすべりおちそうになったのかもしれない。まてよ、いましらべてやる」
 トニーは中腰ちゅうごしになって、うしろへ懐中電灯をてらしてみました。
「大丈夫だよ。綱はちゃんとしているよ」
 トニーは、バスと車体とをむすびつけている綱のむすび目が、しっかりしているのをみて、安心したのでありました。
 そういわれて、運転手は、
「そうですかねえ。しかし、ごとんごとんと、いっていますよ。ふしぎだなあ」
「それは、お前の気のせいだろう」
「そうですかなあ」
 運転手の耳には、トニーにはきこえない変な音がかんじるのでしょうか。
 しばらくたって、運転手はまたトニーにはなしかけました。
「あ、またきこえた。トニーの旦那、いままた、大きくごっとんと、うごきましたよ。ああ気持がわるい。そのうちに、豆潜水艇が、道のうえに、ころがりおちてしまいますよ。もういちど、よくしらべてください」
「大丈夫だというのになあ」
 トニーは、もういちど、綱のむすび目をよくしらべました。しかし、さっきと同じで、べつにとけた様子もありませんでした。


   くらい海


 そのうちに、トラックは、大きな川っぷちにつきました。
 石垣いしがきの下に、だるま船が待っていました。
 岸から板がわたしかけてありましたから、トラックのうえのにもつであるバスは、しずかに板のうえへおろされ、そしてだるま船の中につみこまれました。
「オーライ。さあ、早いところ、でかけよう」
 トニーが手をあげると、だるま船は、すぐエンジンをかけました。
 一同は、だるま船の中にのりうつりました。だるま船は波をけたてて、川下へくだっていきました。
 くらい川の面には、このだるま船の行く手をさえぎるものもいません。
「しめた。水上警察すいじょうけいさつも、こっちに気がつかないらしい。さあ、どんどんいそげ。本船じゃ、まっているだろうから」
 だるま船は、川口を出て海に入ると、こんどはさらに速度をあげて、沖合おきあいへすすんでいきました。
「トニーの旦那、針路は真南でいいのですかね」
「まあ、しばらく真南へやってくれ。そのうちに、無電がはいってくるだろうから、そうしたら、本船の位置がはっきりする」
 トニーは、ともに腰をおろして、しきりに受信機をいじっていました。
 それからしばらくたって、トニーが、耳にかけていた受話器を両手でおさえました。
「あ、本船が出た。エデン号だ」
 トニーは、耳にきこえるモールス符号ふごうを、すらすらと書きとっていましたが、そのうちに、彼も電鍵でんけんを指さきで、こつこつと、おして、なにごとかを無線電信で打ちました。
 そうして、両方でしきりに通信をかわしていましたが、やがてそれもおわりました。
「おい、わかったぞ。左舷さげん前方三十度に赤い火が三つほばしらに出ている船が、われわれを待っているエデン号だそうだ。船をそっちへ向けなおして、全速力でいそげ」
 トニーは、ふなべりをたたいて、そうさけびました。船は、向きをかえると、出るだけ一ぱいの力を出して、くらい海面をいそぎました。
 エデン号に行きついたのは、それから約二時間のちのことでありました。
「エデン号かね。こっちはタムソン部長の命令で、豆潜水艇をつんできたトニーだよ」
「おう、まっていた。トニー君。大へんな手がらをたてたものだな。わが海軍でねらっていた青木学士の豆潜水艇を、そっくり手に入れるなんて、この時局がら、きつい手がらだ。あとでうんと懸賞金が下るだろうぜ」
「その懸賞金が、目あてさ。その金がはいれば、おれは飛行機工場をたてるつもりさ」
「はははは、もう金のつかいみちまで、考えてあるのか。手まわしのいいことだ、はははは」

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