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男女関係について(だんじょかんけいについて)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-26 7:07:30  点击:  切换到繁體中文


         三

 野枝さん。
 これでようやく本論にはいりかけて来た。けれども、ここまで書いて来て、この手紙を「一情婦に与えて女房に対する亭主の心情を語る文」とのみするよりも、さらに「女房に与えて彼女に対する一情婦の心情を語る文」というような意味がはいるのも、しごく妙だろうと思われるので、もう少し君の手紙を拝借して行きたい。お蔭様で、写字をして、だいぶ原稿が儲かる訳になるのだがね。
 その後しばらくして、君の手紙の中に、再び保子のことが書かれてあった。たぶん新聞に出た彼女の談話から、そんな気持を誘い出されたものと思う。
「保子さんにはもう少し理解ができるようにお話しになれませんか。私は何を言われてもかまいませんが、もう少しあなたということをお考えになれないでしょうか。私には、何だかもっとあなたがよくお話しになれば、お分りならない方ではないような気がしますけれど。あなたは保子さんによくお話しをなさることを面倒がっていらっしゃるのではありませんか。もしそうなら、私は、できるだけもっと丁寧にあなたがお話しになるようにお願いします。どうでもいいというような態度はお止しになった方がよくはありませんか。勿論私はまだ、何にもあなたにそんなことは、お聞きしませんから分りませんけれど、またそうでなければそれ以上に仕方はありませんが。
「あなたが神近さんに対して、また私に対して、さしのべて下すった同じ手を、保子さんにもおのばしになることを望みます。私は神近さんに対して相当の尊敬も愛も持ち得ると信じます。同じ親しみを保子さんにも持ちたいと思います。保子さんは私に会って下さらないでしょうか。私は何だかしきりに会いたい気がします。あなたの一昨日のお話しのように、触れるところまで触れて見たい気がします。私も保子さんを知りませんし、保子さんもたぶんよく私というものをご存じではないだろうと思います。触れるところまで触れて、それでも私の真実が分らなければ仕方はありません。けれども、知らないでこんなにしているのは少し不満足な気がします。もっとも保子さんが私に持っていらっしゃるプレジュディスはかなり根深いものであるかも知れませんけれども、この私のシンセリティとそれとがどちらが力強いものであるかを見たい気も致します。もし保子さんが、お許し下さるなら、私はこんどお目に懸りたいと思います。
「けれどもまた、もしその結果が保子さんの上に大変な傷を与えるようなことになるとすれば、これは考えなければならないことであるかも知れません。けれども、私たちの関係は知らない人同士で認め合うというような、いい加減なことは許されないだろうと思われます。今会うことができないとしても、一度はぜひお目に懸からなければなるまいと思います。」
 すると、翌日の手紙に、追っかけるようにして、君はさらに言う。
「保子さんのことを昨日の手紙に書きましたが、あれはとり消しましょう。今日安成さんから少しばかりお話しを伺いました。どうも今お会いするのは無駄なように思いますから。もしあなたの保子さんに対するお考えが委しく伺えれば本当にいいと思いますけれども。
「今朝から私はいろいろに考えていましたの。私の保子さんと、神近さんとに対する本当の心持を知りたいと思いましてね。ですけれど、私はやはり、どちらの関係もあなたの生活の一部として是認するだけで、あなたと保子さん、あなたと神近さん、それからあなたと私、というふうに切り離しては考えられないのです。要するに、私が、保子さんとあるいは神近さんとあなたとの間のことについて、お互いに理解し合ったり認め合ったりするということの方を現在の一番大きなことのように考えていたのは、まだ本当に自分であなたと私との関係がのみ込めなかったというふうに考えられて来ました。本当に平凡な事実なのですけれども。保子さんといい、神近さんといい、私といい、ただあなたを通じての交渉なのですから、あなたに向っての各自の要求がお互いにぶっつかりさえしなければ(何だか他に言い方があるような気がしますが)、みんなインディファレントでいられる筈だと思います。そうすれば、なお一層よくあなたを理解し合おうとするみんなの努力があれば、そこで初めて完全に手を握ることができるのだと思います。
「そうして今、神近さんと私とは、というよりも私の神近さんに対する気持は、この第一段にいるのだと思います。保子さんに対する私の気持は、第二段にまで進みかけているのですが、保子さんはまだ恐らくは第一段にまでも来てはいらっしゃらないように思われます。そこで私の保子さんに持つ心持は、保子さんには無理すぎることになって来ます。で、今しばらくはインディファレントでいます。あるいはそれ以上に進まないかとも思われます。しかし私としては、保子さんとも神近さんとも、本当に手を握りたいのが望みです。神近さんには、会ってよくお話しすれば、そこまで進めるかとも思います。ぜひそうあらねばならぬと思います。そうして初めて私たちの関係は自由なのですね。そうしてお互いに進んで行きたいと思います。
「ひとりいて、私はそういうことを考えては、自分の気持がずんずん進んで行くのがはっきり見えるのが嬉しくて堪りません。こんなことばかり考えていますと、頭がはっきりして来て、気がはればれして来て、いい気持になれます。けれども私はまだ恐れています。今、私があなたの愛を一番多く持っているということに、自分の安心があるのではないかということを。絶えずそう思っては注意していますけれども、今のところでは別にそんな感情は少しもまじっていないようですけれど、その反省だけは怠らずに続けています。」


 

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