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牛若と弁慶(うしわかとべんけい)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-9-1 11:54:28  点击:  切换到繁體中文


     三

 牛若うしわか五条ごじょうはしおおどろぼうのうわさをくと、
「ふん、それはおもしろい。てんぐでもおにでも、そいつをかして家来けらいにしてやろう。」
 とおもいました。
 月のいいなつばんでした。牛若うしわか腹巻はらまきをして、その上にしろ直垂ひたたれました。そして黄金こがねづくりのかたなをはいて、ふえきながら、五条ごじょうはしほうあるいて行きました。
 はしの下にっていた弁慶べんけいは、とおくのほうからふえこえてると、
たな。」
 とおもって、っていました。そのうちふえはだんだんちかくなって、いろしろい、きれいな稚児ちごあるいてました。弁慶べんけいは、
「なんだ、子供こどもか。」
 とがっかりしましたが、そのはいている太刀たちがつくと、
「おや、これは、」
 とおもいました。
 弁慶べんけいはしのまん中にして行って、牛若うしわかの行くみちちはだかりました。牛若うしわかふえきやめて、
「じゃまだ。どかないか。」
 といいました。弁慶べんけいわらって、
「その太刀たちをわたせ。どいてやろう。」
 といいました。牛若うしわかこころの中で、
「こいつが太刀たちどろぼうだな。よしよし、ひとつからかってやれ。」
 とおもいました。
「ほしけりゃ、やってもいいが、ただではやられないよ。」
 牛若うしわかはこういって、きっと弁慶べんけいかおつめました。
 弁慶べんけいはいらって、
「どうしたらよこす。」
 とこわいかおをしました。
ちからずくでとってみろ。」
 と牛若うしわかがいいました。弁慶べんけいはまっになって、
「なんだと。」
 といいながら、いきなりなぎなたでよこなぐりにりつけました。すると牛若うしわかはとうに二三げんあとびのいていました。弁慶べんけいすこしおどろいて、またってかかりました。牛若うしわかはひょいとはし欄干らんかんにとびがって、こしにさしたおうぎをとって、弁慶べんけい眉間みけんをめがけてちつけました。ふいをたれて弁慶べんけいめんくらったはずみに、なぎなたを欄干らんかんてました。牛若うしわかはそのにすばやく弁慶べんけいうしろにりてしまいました。そして弁慶べんけいがなぎなたをこうとあせっているに、うしろからどんとひどくつきとばしました。弁慶べんけいはそのままとんとんと五六けんんで行って、まえへのめりました。牛若うしわかはすぐとその上に馬乗うまのりにって、
「どうだ、まいったか。」
 といいました。
 弁慶べんけいはくやしがって、はねきようとしましたが、おもいしおさえられたようにちっともうごかれないので、うんうんうなっていました。牛若うしわか背中せなかの上で、
「どうだ、降参こうさんしておれの家来けらいになるか。」
 といいました。弁慶べんけい閉口へいこうして、
「はい、降参こうさんします。御家来ごけらいになります。」
 とこたえました。
「よしよし。」
 と牛若うしわかはいって、弁慶べんけいをおこしてやりました。弁慶べんけい両手りょうてについて、
「わたくしはこれまでずいぶんつよいつもりでいましたが、あなたにはかないません。あなたはいったいどなたです。」
 といいました。牛若うしわかはいばって、
「おれは牛若うしわかだ。」
 といいました。
 弁慶べんけいはおどろいて、
「じゃあ、源氏げんじ若君わかぎみですね。」
 といいました。
「うん、佐馬頭義朝さまのかみよしとも末子ばっしだ。おまえはだれだ。」
「どうりでただの人ではないとおもいました。わたしは武蔵坊弁慶むさしぼうべんけいというものです。あなたのようなりっぱな御主人ごしゅじんてば、わたしも本望ほんもうです。」
 といいました。
 これで牛若うしわか弁慶べんけいは、主従しゅじゅうのかたい約束やくそくをいたしました。

     四

 牛若うしわかもなく元服げんぷくして、九郎義経くろうよしつねのりました。そしてにいさんの頼朝よりともをたすけて、平家へいけをほろぼしました。
 弁慶べんけい義経よしつねといっしょに度々たびたびいくさに出て手柄てがらをあらわしました。のち義経よしつね頼朝よりともなかわるくなって、奥州おうしゅうくだったときも、しじゅう義経よしつねのおともをして忠義ちゅうぎをつくしました。そしておしまいに奥州おうしゅう衣川ころもがわというところで、義経よしつねのためににをしました。そのときからだじゅうにけながら、じっとっててきをにらみつけたままんでいたので、弁慶べんけい往生おうじょうだといって、みんなおどろきました。





底本:「日本の英雄伝説」講談社学術文庫、講談社
   1983(昭和58)年6月10日第1刷発行
※「僧正ガ谷」の「ガ」は底本では小書きになっています。
入力:鈴木厚司
校正:今井忠夫
2004年1月6日作成
青空文庫作成ファイル:
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