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郷介法師(ごうすけほうし)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-9-2 7:33:28  点击:  切换到繁體中文



「こいついよいよ狂人だ。俺達を何者と思っているか!」
「俺は知らぬ。知る必要もない」
「一体貴様は何者だ?」
「見られる通りの乞食坊主さ」
「そうではあるまい。そんなはずはない」
 賊の頭目は相手の様子に少なからず興味を感じたらしく、
「名をなのれ。身分を宣れ」
「俺はな」と法師は物憂そうに、
「幸と云おうか不幸と云おうか、忘れ物をして来たよ」
「忘れ物をした? それは何だ?」
はりつけ柱だ。磔柱だよ」
 賊共はにわかにざわめいた。それから森然しんと静まった。
 賊の頭目は眼を見張ったが、やがてポンと手を拍った。
「ははあ左様か。そうであったか。磔柱の郷介ごうすけ法師か」
「ところでおぬし何者かな?」
わしは五右衛門だ。石川五右衛門だ」
 すると今度は法師の方でポンとばかりに手を拍った。
「うん、そうか、無徳むとく道人だったか」
「郷介法師、奇遇だな」
「いや、全く奇遇だわえ」
「私はお主に逢いたかった」
「私もお主に逢いたかったものさ」
「で、五千両入用かな?」
「五右衛門と聞いては取られもしまい」
「せっかくのことだ、半金上げよう」
「金には不自由しているよ」
「私の所へ来てはどうか?」
「今どこに住んでいるな?」
「洛外嵯峨野だ。いい所だぞ。……ところでお主はどこにいるな?」
「私は雲水だ。宿はない」
「私の所へ来てはどうか?」
「まあやめよう。恐いからな」
「ナニ恐い? 何が恐い?」
「恐いというのは秀吉の事さ」
「成り上り者の猿面冠者か」
「私はあいつから茶碗を貰った」
「それが一体どうした事だ」
「そこで恐くなったのさ」
「何の事だかわからないな」
彼奴きゃつ、殿下にもなれるはずだ。底の知れない大腹中だ。で私は立ち退くつもりだ。そうだよ近畿地方をな」
「なんだ、馬鹿な、郷介程の者が、あんな者を恐れるとは恥かしいではないか!」
「その中お主にも思い当たろう」
「私は彼奴あいつをやっつける意だ」
「悪いことは云わぬ、それだけは止めろ」
「私はある方に頼まれているのだ」
「はて誰かな? 家康かな?」
「いいや違う。狸爺ではない」
「およそわかった、秀次だろう?」
「誰でもいい。云うことは出来ぬ」
「止めるがいい。失敗するぞよ。彼奴用心深いからな」
 五右衛門は娘をチラリと見たが、
「好い娘だな。別嬪だな。月姫殿の遺児わすれがたみかな?」
「うん」と云うと郷介法師は始めて悲しそうな顔をした。
「この娘も本当に可哀そうだ」
「ではどうでも立ち退くつもりか?」
「うん、どうでも立ち退くよ」
「旅費はどうかな? 少し進ぜよう」
「私には五万両の貸がある」
「え、五万両? 誰に貸したのか?」
「堺の魚屋利右衛門へな」
「それではこれでお別れか」
「行雲流水、どれ行こうか」
 そこで二人は別れたのである。

 関白秀吉を恐れさせ一世の強盗五右衛門をして、兄事させた所の郷介法師とは、いかなる身分の大盗であろうか?
 歴史にもなく伝説にもないこの不思議の大盗賊について、書き記してある書物と云えば、「緑林黒白りょくりんこくびゃく」一冊しかない。
 で作者わたしはその書に憑據し、この大盗の生い立ちを左に一通り述べることにしよう。

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