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政談月の鏡(せいだんつきのかがみ)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-9-7 10:51:31  点击:  切换到繁體中文


        七[#「七」は底本では「六」と誤記]

 えゝ引続きまする依田政談も、久しゅう大火に就(つ)いて筆記を休んで居りましたが、跡も切目(きれめ)になりましたから一席弁じます事で、昨日(さくじつ)火事見舞ながら講釈師の放牛舎桃林(ほうぎゅうしゃとうりん)子(し)の宅へ参りました処同子(どうし)の宅は焼残(やけのこ)りまして誠に僥倖(しあわせ)だと云って悦んで居りましたが、桃林の家(うち)に町奉行の調べの本が有りまして、講釈師丈(だけ)に能く調べが届いて居る、本が有るから貸して遣ろうと云うので、私(わたくし)は借りて参りまして段々調べて読んで見ますると、依田豐前守は、依田和泉守といい町奉行の時分は僅(わずか)な間でございます、延享(えんきょう)元年の六月十一日御目附(おめつけ)から致して町奉行役を仰付けられ宝暦(ほうれき)三年の三月廿八日にはもう西丸(にしまる)の御槍奉行(おやりぶぎょう)に転じました事でございます。して見ると調べの間は長い事ではございません、其の次は曲淵甲斐守という是も名奉行で、宝暦三年四月の八日御作事奉行(おさくじぶぎょう)より転じて依田豊前守と御交代になり明和(めいわ)の六年八月十五日までお勤めに成ったという。大岡越前守、依田豊前守、曲淵甲斐守、根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)などいうは何(いず)れも御名奉行と云われた方で、申し続きましたお筆のお捌(さばき)は依田豊州(ほうしゅう)公から曲淵甲州公へ御引続(おんひきつぎ)になりました一件で、錯雑(こみいり)ましてお聴悪(きゝにく)い事でございましょう左様御承知を願います、扨(さて)お筆は数寄屋河岸の柳番屋の蔭へ一夜(ひとよ)置き位に出て袖乞を致しまするも唯養父を助けたい一心で、恥しいのも寒いのも打忘れて極月(ごくげつ)ヒュー/\風の吹きまするのをも厭(いと)わず深更(しんこう)になる迄往来中(なか)に佇(たゝず)んで居て、人の袖に縋(すが)るというは誠に気の毒な事で、人も善い時には善い事許(ばか)り有りますが、間が悪くなると引続いて悪い事許り来るものでお筆などは至って親孝行にして為人(ひとゝなり)も善し屋敷育ちでは有り、行儀作法も心得て居(お)るから誰に会っても誉(ほ)められる様な誠に柔和な娘で有りますけれ共、板の間を働いたという濡衣を着て、親父に面目ないと思う処から入水致しました処を、助けられたは仕合せで有ったが、その又己れを助けて呉れた米倉屋孫右衞門が零落を致して、京橋鍛冶町の裏家住い搗(かて)て加えて長(なが)の病気というので、今は最(も)う何も彼(か)も売尽した処から袖乞いに出る様な始末、
 筆「今日も夜更けて人も通らず、したが今夜百文でも二百文でも貰って帰らなければ私の命を助けて呉れた大事なお父様(とっさん)に明日(あした)喰べさせるものを宛(あて)がう事も出来ず、と云ってお腹(なか)を空(すか)させては済まない、私は喰べなくても宜(い)いから何卒(どうぞ)お父様丈にはお粥でも炊いて上げなければ成らないから、もう詮方(しかた)がない、いやらしい事を云う人でも有ったら誠に道ならん事では有るが寧(いっ)そ此の身を任しても親の為めには替えられない」
 と、覚悟を致し、ヒューという寒風(かぜ)を凌(しの)いで柳番屋の蔭に立って居ると、向うから前(ぜん)申し上げた黒縮緬の頭巾を被り大小を落差しに致して黒無地の羽織、紺足袋という扮装(こしら)えで通りました、白張(しらはり)の小田原提灯が見えましたから、
 筆「アヽお武家で有るか、万一(ひょっと)したら少しはお恵みが有ろう」
 と思いツカ/\/\と来(きた)り、もう怖いも恥かしいも打忘れ武家の袂(たもと)に縋(すが)り、
 筆「お願いでございます」
 武家「ア…はアヽ……誰(たれ)も居らんかと思ったので大きに恟(びっく)り致したが、何(なん)だえ、女子(おなご)かえ」
 筆「はい…お父(とっ)さんが長々煩いまして其の日に追われ、何も彼(か)も売尽しましてもう明日(あした)は親どもにお米を買って喰べさせる事が出来ません、それ故誠にお恥かしい事でございますが、毎日此処(これ)へ参りましては人様のお袖へ縋って聊(いさゝ)かの御合力(ごごうりょく)を受けまして親子の者が露命(いのち)を繋(つな)いで居る者でございます、けれ共今晩斯様(かよう)に風が吹きますので薩張(さっぱり)人通りがございませんから、是迄立って居ましたが少しのお恵みも受けませず、今晩此の儘帰りましては親を見殺しに致す様なものと存じまして誠に御無理ではございますが百文でも二百文でもお恵み下さいますれば親子の者が助かります、何卒(どうぞ)殿様お願いでございます」
 武家「はい…はい、それはお気の毒な事じゃ、むー…」
 小田原提灯をこう持上げて見ますると、下を向いて袖を顔に押当て、ポロ/\泣いて居ります。眤(じっ)とその様子を見て居りましたが、軈(やが)て一掴みの金子を小菊に包んで、
 武「これを遣わすから、早う帰って親御に孝行を致せ、したが女子(おなご)の身の夜中(やちゅう)と云い、いかなる災難に遇わんとも限らんから向後(きょうこう)袖乞は止(や)めに致すがよい」
 とお筆に渡すと其の儘往って仕舞いました。お筆は嬉し涙にくれて見送って居りましたが家(うち)へ帰って包を明けて見ますと古金(こきん)で四五十両、お筆は恟(びっく)りして四辺(あたり)を見廻し、
 筆「はア…何(ど)うしたんだろう、心の迷いじゃアないか知ら、先刻(さっき)彼所(あすこ)を通り掛ったのは武士(さむらい)と思ったのが狐か何かで私を化(ばか)したのじゃアないか知らん、私がお鳥目を欲しいと思う其の気を知ってつままれたのか知らん」
 と足をギイーッと抓(つね)ったが痛いから、
 筆「夢じゃアないが、ハテ何うしたんだろう、向後袖乞に出るなと仰しゃったから、御親切な殿様で私の戸外(おもて)へ出ない様に多分にお金を下すった事か、あゝー……私の為には神さま……」
 と手を合せて伏拝み何所(どこ)の人だか知りませんから心の中(うち)で頻(しき)りと礼を云い、翌日(あした)に成りますると先(ま)ず此金(これ)でお米を買うんだと云う、其のお米を買うたって一時(いちじ)に沢山(たんと)買って知れては悪いと思いましたから、狐鼠(こっそ)り少し買い、一朱もお金を出せば薪も買えれば炭も買える、又金を一つ処へ仕舞って置いて知れると悪いと思いましたから、彼方此方(あっちこっち)へお金を片附けて仕舞って置きまして、些(ちっ)とずつ出して使い、
 筆「お父(とっ)さまはお寒かろうから暖(あった)かい夜具を着せたい」
 と夜見店(よみせ)へ参りまして古着屋から小僧さんに麻風呂敷に掻巻(かいまき)に三布蒲団(みのぶとん)を背負(せお)い込ませ、長家の者に知れない様にお父さんに半纏を着せたいと云うので段々と狐鼠(こそ)/\買物をして参りますが、世間じゃア直(すぐ)に目が着きます、或る時例の姐子(あねご)が、
 姐「おい勘次や」
 勘「えゝ」
 姐「奥のお筆さんは良(い)い旦那でも附いたのじゃアねえか」
 勘「然(そ)うでげすね、此の頃は大変様子が宜(い)いから、ね、お父さんなどは何うも少し顔色が違えやして、此の頃じゃアにこ/\して居やす、私(わっち)にも此の間手拭を呉れたね」
 姐「手拭を貰ったと、何(な)んで貰ったんだい」
 勘「何んだって度々水を汲んでやったり何(なん)かするんで大きに色々お世話に成るって呉れましたが余(あんま)り好(い)い心持だから匂いを嗅いだが、些(ち)っとも好い香気(におい)はしませんね、矢張(やっぱり)手拭の臭いがした」
 姐「あの娘(こ)なんぞに何か貰いなさんなよ、何(なん)でも旦那が附いたに違(ちげ)えねえノ」
 勘「えゝ、何(な)んだか知りませんが、其の旦那てえのが些(ちっ)とも来るのを見た事がねえ、何でも夜中(よなか)に来るんでげしょうよ何処(どこ)かへ参詣(おまいり)に行(ゆ)くって時々出え/\したが、何処か知れない処で逢ってお金を貰って来るんでげしょう、あの親父が此の間髭(ひげ)を剃りましたよ白髪交りの胡麻塩頭を結(ゆっ)て新しい半纏を引掛(ひっかけ)て坐って居ますが大きに様子が快(よ)くなって病人らしく無く成ったが、娘(ねえ)さんも襦袢に新しい襟を掛けたぜ、好(い)いもんじゃア有りやせんが銘仙か何(なん)かの着物が出来ておつな帯を締(しめ)ましたよ、宜(い)い装(なり)をすると結髪(むすびがみ)で働いて居る時よりゃア又好(よ)く見えるね、内々(ない/\)魚などを買って喰う様子でげすぜ、此の間も魚屋が来たら何が有る、鱈……それじゃア鱈をお呉れって鱈を買いやしたが病人に鱈は宜うごぜえますのかね」
 姐「そんな事を気にしなくっても宜いが何うも様子が訝(おか)しい」
 勘「私(わっち)も娘(ねえ)さんの顔が見てえから時々行(ゆ)くんです」
 此の勘次が毎日の様に来ては手伝いますから気の毒だと思って居ます処へ又来て、
 勘「お筆さん水を汲んで上げやしょう」
 筆「おや勘次さん毎度有難う」
 勘「なにどうせ幾度も汲みに行(ゆ)くんで、宅(うち)の姐さんは清潔家(きれいずき)でもって瓶(かめ)の水を日に三度宛(ずつ)も替えねえと孑孑(ぼうふら)が湧くなんてえ位で、小便にでも行くと肱(ひじ)の処から水をかけて手を洗うてえ大変なものでえへゝゝどうせ序(ついで)でげすから遠慮するにア及びやせんよ」
 筆「誠に毎度有難う」
 勘「お父さん今日は……えへゝゝ、いえ何う致しやしてどうせ序が有りやすから、何(な)んでげすねお筆さんは親孝行でお前様(さん)はお仕合せで本当に御運が好いんで、えへゝゝ」
 孫「なに然(そ)うでも有りませんのさ」
 勘「此んな好い子を持ったのは貴方の御運が宜(い)いのでさア」
 孫「なに運が善(よ)い事も有りアしません、今じゃア腰が脱(ぬ)けて仕舞って何(なん)の役にも立たなく成ってますから、併(しか)し毎度有難うございます、娘(これ)一人で何事も手廻りません処を貴方が水を汲んで下さったり、其の上御親切に姐さんが又度々気を注(つ)けて下物(おかず)を下さり、誠に有難う存じますお蔭で親子の者が助かります、貴方姐さんに宜しく仰しゃって下さいまし」
 勘「じゃア姉さん汲んで上げよう」
 と井戸端へ行って水を手桶に三杯も汲んで遣りました。
 筆「ちょいと/\勘次さん少し待って下さい」
 勘「え何(なん)です」
 筆「少し上げたいものが有りますから、手拭の貰ったのがあるんです」
 勘「又手拭をかえ……此の間も貰ったのに…」
 筆「いえ詰らんのですが持って行って下さいよ」
 是から千代紙で張(はっ)て有る可笑(おかし)な箱の蓋を取って、中から手拭を出そうとする時、巾着の紐が指に引懸って横になるとパラ/\/\と中から金子(かね)が散乱(ちらばっ)たから慌てゝお筆が之を隠し手拭を一筋(ひとつ)に一朱銀を一個(ひとつ)出して、
 筆「誠に少し許(ばか)りでございますけれども、毎度御厄介に成りますから」
 勘「何う致しまして、是は何うも、えへゝゝ何うもお気の毒で、誠に有難う」
 と礼を云いながら心の中(うち)で大層金子(かね)を持(もっ)て居やアがると斯(こ)う思いました。口々に分けては有りますが下へ落ちたが二十両許りザラ/\/\と云うのを慾張た眼で見ると五六十両も有ろうと思いました「此奴(こいつ)ア成程姐さんの云う通り何(なん)でも彼奴(あいつ)は良(い)い旦那どりをしてこっそり金を呉れる奴が有るに違(ちげ)えねえ、彼様(あん)なけちな千代紙で貼った糸屑を入れて置く箱ん中の巾着からザクリと金が出るんだからね」と此の勘次と云う奴は流山(ながれやま)無宿(むしゅく)の悪漢(わるいやつ)でございますから、心の中(うち)で親父は病気疲れで能く眠るだろうし、娘も看病疲れで寝るだろうし、能く寝付いた処へ忍込んであの金子(かね)さえ取れば、又西河岸の桔梗屋(ききょうや)へ行って繁岡(しげおか)の顔でも見て楽しむ事が出来るという謀叛(むほん)が起り、其の夜(よ)深更に及んでお筆の家(うち)の水口を開け忍込んで見ると親子とも能く寝付いて居る様子、勘次は素(もと)より勝手を知って居りますから、例の千代紙で貼った針箱同様の糸屑の這入って居る箱の中から巾着を盗み出し、戸外(そと)へ出ると直(すぐ)に駕籠に乗って飛ばして廓内(なか)へ這入り西河岸の桔梗屋という遊女屋へあがりました。
 勘「久しく様子が悪かったので来なかった」
 馴染の娼妓か、
 △「おや鼬(いたち)の道や」
 勘「なにー篦棒めえ、鼬の道だって、あのなア繁岡さんと喜瀬川(きせがわ)さんを呼んで呉んな、揚女郎てえ訳ではねえが、私(わっち)は少し義理が有るから、旨(うめ)え物を沢山(たんと)食(あが)れ、なにー、愚図/\云うな、大台(おおでえ)を……大台をよ、内芸者(うちげいしゃ)を二人揚げて呉んな」
 と金の遣い振りが暴(あら)い。
 亭主「勘次さんは大層金の遣い振りが暴いじゃアねえかのう、喜助」
 喜「へえ、何(なん)だか博奕(ばくち)に勝ったと被仰(おっしゃ)います」
 と聞いて内証では何(ど)うも様子が訝(おか)しい、知ってる人だから朝勘定でも宜(い)いんだが、金の遣振りが訝しいから宵勘定に下げて貰え。と下(さが)った金を見ますると三星(みつぼし)の刻印が打って有る、是は予(かね)て巡達(じゅんたつ)に成って居(お)る処の不正金でございますから、
 亭主「是は打棄(うっちゃっ)ちゃア置(おか)れない、直(す)ぐに……」
 と云うので、是から其の頃の御用聞を呼びまして此の事を話すと石子伴作(いしこばんさく)様と云う定巡(じょうまわ)りの旦那が、
 伴「夫(それ)は手附かずに出すが宜(い)い」
 と云うので、二日流連(いつゞけ)をさせて緩(ゆっ)くり遊興をさせ、充分金を遣わせて御用聞と話合いの上で、ズッと出る処を大門外(そと)で、
 ○「御用」
 勘「ハッ……」
 と云って恟(びっく)りする、大抵な者は御用聞が御用と云う声を掛けるとペタペタとなるといいます。直(すぐ)に縛られて田町の番屋へ引かれる、仕様の無いものでございます。
 ○「勘次汝(てめえ)の身分にしちゃア金遣いが滅法に暴(あら)えが、桔梗屋で使用(つかっ)た金はありゃア何処(どこ)から持って来た金だ」
 勘「むゝ、彼(あれ)ア、…バ……」
 伴「何を愚図/\言って居やアがるんだえ」
 勘「へい、何(な)んで、賭博(ばくち)に勝ちましたので」
 伴「なにー、博賭(ばくち)に勝ったと、馬鹿ア云え、汝(てめえ)の様なケチな一文賭博をする奴が古金(こきん)で授受(とりやり)をするかえ、有体(ありてい)に申上げろ」
 勘「マ、全く博賭に勝ったに違(ちげ)えござえません」
 伴「何処(どこ)の博賭場で勝ったんだ」
 勘「ムヽ、カ、カ、神田の牧(まき)様の部屋で何(な)んしまして、小川町(おがわまち)の土屋(つちや)の……」
 伴「黙れ、尋常に申し上げろい、幾ら隠したって役にア立たねえから、何処で盗んだか云えよ」
 勘「いえ全く其のカ、カ、勝ったんで」
 伴[#「伴」は底本では「勘」と誤記]「これ勘次、汝(てめえ)其様(そん)な事を愚図/\云ったって役にゃア立たねえ早く云っちめえ」
 勘「いえ……その…全く勝ったんで」
 伴「云わねえな、何うしても此奴(こいつ)ア云わねえから打(ぶ)て/\」
 ○「お慈悲深い旦那だから本当の事を喋って其の上でお慈悲を願え、お前(めえ)だって万更(まんざら)素人(しろうと)じゃアなし、好(い)い道楽者じゃアねえか」
 伴「ええや、しめろ/\」
 とピシーリ/\叩かれるから直(すぐ)に口が開(あ)いて、実は五斗兵衞市の処に食客(いそうろう)に居る中(うち)に裏に小間物屋孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]と云う者が居て、孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]の娘のお筆が私に礼をすると云って巾着をすべらし、金の出たのを見て不図した出来心から全く盗んだに相違ございません。と白状を致しましたから直に京橋鍛冶町の小間物屋孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]方へ踏込(ふみこみ)娘お筆が縄に掛って引かれたは何(なん)とも云えぬ災難でございます。何(ど)う云う事やら訳が分らず腰の抜けて居る孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]は大屋さん何う云うもんで。と泣いて許(ばか)り居りますから長屋の者が来ては色々に賺(なだ)めますけれども中々愚痴が止みません。五斗兵衞市の姐御は気の毒でなりませんから、
 ○「私の処へ無頼(やくざ)な食客(いそうろう)を置いたばかりで斯(こ)う云う事に成ったんだが、決してお筆さんに其様(そん)な理由(わけ)はない不正金だというが」
 孫「イエ金子(かね)などが宅(うち)に有る気遣いは有りません、何う云う災難ですか、大屋さんお筆を返して下さいませんと私(わたくし)は小便に行(ゆ)く事もお飯(まんま)を喰う事も出来ません、お願いでございますから」
 とワイ/\泣(ない)て居ったのは然(さ)もあるべき事でございます。

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