六
一週間ばかりたった後、玄鶴は家族たちに囲まれたまま、肺結核の為に絶命した。彼の告別式は盛大(!)だった。(唯、腰ぬけのお鳥だけはその式にも出る訣に行かなかった。)彼の家に集まった人々は重吉夫婦に悔みを述べた上、白い
彼の
二輛の馬車は霜どけの道をやっと火葬場へ
「実は手遅れになった病人だしするから、せめて火葬にする時だけは一等にしたいと思うんですがね。」――そんな
らしかった。
「ではこうしましょう。一等はもう満員ですから、特別に一等の料金で特等で焼いて上げることにしましょう。」
重吉は幾分か間の悪さを感じ、何度も事務員に礼を言った。事務員は
「いえ、何、お礼には及びません。」
彼等は竈に封印した後、薄汚い馬車に乗って火葬場の門を出ようとした。すると意外にもお芳が一人、
「あれですね?」
「うん、………俺たちの来た時もあすこにいたかしら。」
「さあ、
重吉は一本の
「さあ、どう云うことになるか。……」
彼の従弟は黙っていた。が、彼の想像は
底本:「昭和文学全集 第一巻」小学館
1987(昭和62)年5月1日初版第1刷発行
親本:岩波書店刊「芥川龍之介全集」
1977(昭和52)年~1978(昭和53)年
入力:j.utiyama
校正:かとうかおり
1998年10月14日公開
2004年2月29日修正
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