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一握の砂(いちあくのすな)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-8-21 15:52:31  点击:  切换到繁體中文

底本: 日本文学全集12 国木田独歩・石川啄木集
出版社: 集英社
初版発行日: 1967(昭和42)年9月7日
入力に使用: 1972(昭和47)年9月10日第9版


底本の親本: 初版本

 

函館なる郁雨宮崎大四郎君
同国の友文学士花明金田一京助君


この集を両君に捧ぐ。予はすでに予のすべてを両君の前に示しつくしたるものの如し。従つて両君はここに歌はれたる歌の一一につきて最も多く知るの人なるを信ずればなり。
また一本をとりて亡児真一に手向く。この集の稿本を書肆の手に渡したるは汝の生れたる朝なりき。この集の稿料は汝の薬餌となりたり。而してこの集の見本刷を予の閲したるは汝の火葬の夜なりき。

著者



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明治四十一年夏以後の作一千余首中より五百五十一首を抜きてこの集に収む。集中五章、感興の来由するところ相ちかきをたづねて仮にわかてるのみ。「秋風のこころよさに」は明治四十一年秋の紀念なり。


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 我を愛する歌

東海とうかい小島こじまいそ白砂しらすな
われきぬれて
かにとたはむる

につたふ
なみだのごはず
一握いちあくの砂をしめしし人を忘れず

大海だいかいにむかひて一人ひとり
七八日ななやうか
泣きなむとすと家をでにき

いたくびしピストルでぬ
砂山すなやま
砂を指もてりてありしに

ひとさにあらしきたりてきづきたる
この砂山は
なにはかぞも

砂山の砂に腹這はらば
初恋の
いたみを遠くおもひづる日

砂山のすそによこたはる流木りうぼく
あたり見まはし
ものひてみる

いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
にぎれば指のあひだより落つ

しっとりと
なみだをへる砂の玉
なみだは重きものにしあるかな

だいという字を百あまり
砂に書き
死ぬことをやめて帰りきたれり

目さましてなほでぬ児のくせ
かなしき癖ぞ
母よとがむな

ひとくれの土によだれ
泣く母の肖顔にがほつくりぬ
かなしくもあるか

燈影ほかげなきしつに我あり
父と母
壁のなかよりつゑつきて

たはむれに母を背負せおひて
そのあまりかろきに泣きて
三歩あゆまず

飄然へうぜんと家をでては
飄然と帰りし癖よ
友はわらへど

ふるさとの父のせきするたび
咳のづるや
めばはかなし

わが泣くを少女等をとめらきかば
病犬やまいぬ
月にゆるに似たりといふらむ

何処いづくやらむかすかに虫のなくごとき
こころぼそさを
今日けふもおぼゆる

いと暗き
あなに心をはれゆくごとく思ひて
つかれて眠る

こころよく
我にはたらく仕事あれ
それを仕遂しとげて死なむと思ふ

こみへる電車のすみ
ちぢこまる
ゆふべゆふべの我のいとしさ

浅草あさくさのにぎはひに
まぎれ
まぎれしさびしき心

愛犬あいけんの耳りてみぬ
あはれこれも
物にみたる心にかあらむ

かがみとり
あたふかぎりのさまざまの顔をしてみぬ
泣ききし時

なみだなみだ
不思議なるかな
それをもてあらへば心おどけたくなれり

あきれたる母の言葉に
気がつけば
茶碗ちやわんはしもてたたきてありき

草に
おもふことなし
わがぬかふんして鳥は空に遊べり

わがひげ
下向くくせがいきどほろし
このごろにくき男に似たれば

森の奥より銃声じうせい聞ゆ
あはれあはれ
みづから死ぬる音のよろしさ

大木たいぼくみきに耳あて
小半日こはんにち
かたき皮をばむしりてありき

「さばかりの事に死ぬるや」
「さばかりの事に生くるや」
せ止せ問答

まれにある
このたひらなる心には
時計の鳴るもおもしろく

ふと深き怖れを覚え
ぢっとして
やがて静かにほそをまさぐる

高山たかやまのいただきに登り
なにがなしに帽子ばうしをふりて
くだり来しかな

何処どこやらに沢山たくさんの人があらそひて
くじくごとし
われも引きたし

いかる時
かならずひとつはち
九百九十九くひやくくじふく割りて死なまし

いつもふ電車の中の小男こをとこ
かどあるまなこ
このごろ気になる

鏡屋かがみやの前に来て
ふと驚きぬ
見すぼらしげにあゆむものかも

なにとなく汽車に乗りたく思ひしのみ
汽車をりしに
ゆくところなし

空家あきや
煙草たばこのみたることありき
あはれただ一人たきばかりに

何がなしに
さびしくなればてあるく男となりて
三月みつきにもなれり

やはらかに積れる雪に
てるうづむるごとき
恋してみたし

かなしきは
くなき利己りこの一念を
持てあましたる男にありけり

手も足も
へやいっぱいに投げして
やがて静かに起きかへるかな

百年ももとせの長き眠りのめしごと
※(「呎」の「尺」に代えて「去」、第3水準1-14-91)あくびしてまし
思ふことなしに

うでみて
このごろ思ふ
おほいなるてき目の前にをどでよと

手が白く
だいなりき
非凡ひぼんなる人といはるる男に会ひしに

こころよく
人をめてみたくなりにけり
利己りこの心にめるさびしさ

雨降れば
わがいへの人たれも誰も沈める顔す
れよかし

高きより飛びおりるごとき心もて
この一生を
終るすべなきか

この日頃
ひそかに胸にやどりたるくいあり
われを笑はしめざり

へつらひを聞けば
腹立はらだつわがこころ
あまりに我を知るがかなしき

知らぬいへたたき起して
るがおもしろかりし
昔の恋しさ

非凡ひぼんなる人のごとくにふるまへる
のちのさびしさは
なににかたぐへむ

おほいなる彼の身体からだ
にくかりき
その前にゆきて物を言ふ時

実務には役に立たざるうたびと
我を見る人に
金借りにけり

遠くより笛のきこゆ
うなだれてあるゆゑやらむ
なみだ流るる

それもよしこれもよしとてある人の
その気がるさを
しくなりたり

死ぬことを
持薬ぢやくをのむがごとくにも我はおもへり
心いためば

路傍みちばたに犬ながながと※(「呎」の「尺」に代えて「去」、第3水準1-14-91)あくびしぬ
われも真似まねしぬ
うらやましさに

真剣になりて竹もて犬を
小児せうにの顔を
よしと思へり

ダイナモの
重きうなりのここちよさよ
あはれこのごとく物を言はまし

剽軽へうきんさがなりし友の死顔の
青き疲れが
いまも目にあり

気の変る人につかへて
つくづくと
わが世がいやになりにけるかな

りようのごとくむなしき空にをどでて
消えゆく煙
見ればかなく

こころよき疲れなるかな
息もつかず
仕事をしたるのちのこの疲れ

空寝入そらねいり※(「呎」の「尺」に代えて「去」、第3水準1-14-91)なまあくびなど
なぜするや
思ふこと人にさとらせぬため

はしめてふっと思ひぬ
やうやくに
世のならはしに慣れにけるかな

朝はやく
婚期こんきを過ぎし妹の
恋文こひぶみめけるふみを読めりけり

しっとりと
水をひたる海綿かいめん
重さに似たる心地ここちおぼゆる

死ね死ねとおのれいか
もだしたる
心の底の暗きむなしさ

けものめく顔あり口をあけたてす
とのみ見てゐぬ
人の語るを

親と子と
はなればなれの心もて静かにむか
気まづきや

かの船の
かの航海の船客せんかくの一人にてありき
死にかねたるは

目の前の菓子皿くわしざらなどを
かりかりとみてみたくなりぬ
もどかしきかな

よく笑ふ若き男の
死にたらば
すこしはこの世さびしくもなれ

何がなしに
いききれるまでしてみたくなりたり
草原くさはらなどを

あたらしき背広など着て
旅をせむ
しかく今年ことしも思ひ過ぎたる

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