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猫の草紙(ねこのそうし)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-9-2 5:52:23  点击:  切换到繁體中文

底本: 日本の神話と十大昔話
出版社: 講談社学術文庫、講談社
初版発行日: 1983(昭和58)年5月10日
入力に使用: 1992(平成4)年4月20日第14刷
校正に使用: 1983(昭和58)年5月10日第1刷

 

   一

 むかし、むかし、京都(きょうと)の町(まち)でねずみがたいそうあばれて、困(こま)ったことがありました。台所(だいどころ)や戸棚(とだな)の食(た)べ物(もの)を盗(ぬす)み出(だ)すどころか、戸障子(としょうじ)をかじったり、たんすに穴(あな)をあけて、着物(きもの)をかみさいたり、夜(よる)も昼(ひる)も天井(てんじょう)うらやお座敷(ざしき)の隅(すみ)をかけずりまわったりして、それはひどいいたずらのしほうだいをしていました。
 そこでたまらなくなって、ある時(とき)お上(かみ)からおふれが出て、方々(ほうぼう)のうちの飼(か)い猫(ねこ)の首(くび)ったまにつないだ綱(つな)をといて、放(はな)してやること、それをしない者(もの)は罰(ばつ)をうけることになりました。それまではどこでも猫(ねこ)に綱(つな)をつけて、うちの中に入(い)れて、かつ節(ぶし)のごはんを食(た)べさせて、だいじにして飼(か)っておいたのです。それで猫(ねこ)が自由(じゆう)にかけまわってねずみを取(と)るということがありませんでしたから、とうとうねずみがそんな風(ふう)に、たれはばからずあばれ出(だ)すようになったのでした。
 けれどもおふれが出て、猫(ねこ)の綱(つな)がとけますと、方々(ほうぼう)の三毛(みけ)も、ぶちも、黒(くろ)も、白(しろ)も自由(じゆう)になったので、それこそ大喜(おおよろこ)びで、都(みやこ)の町中(まちじゅう)をおもしろ半分(はんぶん)かけまわりました。どこへ行ってもそれはおびただしい猫(ねこ)で、世(よ)の中はまったく猫(ねこ)の世界(せかい)になったようでした。
 こうなると弱(よわ)ったのはねずみです。きのうまで世(よ)の中をわが物顔(ものがお)にふるまって、かって気(き)ままなまねをしていた代(か)わりに、こんどは一日(にち)暗(くら)い穴(あな)の中に引(ひ)っ込(こ)んだまま、ちょいとでも外(そと)へ顔(かお)を出(だ)すと、もうそこには猫(ねこ)が鋭(するど)い爪(つめ)をといでいました。夜(よる)もうっかり流(なが)しの下(した)や、台所(だいどころ)の隅(すみ)に食(た)べ物(もの)をあさりに出ると、暗(くら)やみに目が光(ひか)っていて、どんな目にあうか分(わ)からなくなりました。

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