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猫の草紙(ねこのそうし)

作者:未知  来源:青空文库   更新:2006-9-2 5:52:23  点击:  切换到繁體中文


     三

 するとねこほうでももうさっそくに、きのうねずみが和尚おしょうさんのところたのみにったことをきつけて、「これはすてておかれない。」というので、まちはずれのはらおおぜいあつまって相談そうだんをはじめました。
 そのときまず、その中でとしった白猫しろねこ一段いちだんたかいしの上にがって、
「みなさん、くところによりますと、こんどわたしたちがはないになったについて、ねずみどもがたいそうこまって、昨晩さくばんてら和尚おしょうさんのところへ行って、もう一わたしたちをつないでくれるようにたのんだということであります。これはじつにけしからんはなしで、ぜんたいねずみはねこもの大昔おおむかしからかみさまがおきめになったのです。その上ねずみはあのとおりわるさをして、人間にんげんにめいわくをかけるわるいやつです。万一まんいちねずみめのいうことがげられて、せっかく自由じゆうになったわれわれが、またもとの窮屈きゅうくつ身分みぶんまれるようなことがあってはたいへんです。さっそく和尚おしょうさんのところって、あくまでそんなことのないようにしてもらわなければなりません。」
 こううとみんなはこえをそろえて、
賛成さんせい賛成さんせい。さあ、ではすぐしろのおじいさんに、ってもらうことにしましょう。」
 といました。そこでしろ一同いちどうわりになって、和尚おしょうさんのところかけていきました。
和尚おしょうさま、きますとゆうべねずみがこちらへがって、わたくしどもの悪口わるくちもうしたそうですね。どうもけしからんはなしでございます。ねずみというやつは、人間にんげんの中でもうせばどろぼうにあたるやつで、じひをおかけになればなるほどよけいわるいことをいたします。もしねずみのうことをおげになって、わたくしどもがまたつながれるようなことになりますと、いよいよやつらはって、どんなひどいいたずらをするかわかりません。それとはちがって、ねこはもと天竺てんじくとら子孫しそんでございますが、日本にほんは、小さなやさしい国柄くにがらですから、このくにみつくといっしょに、このとおり小さなやさしいけものになったのでございます。しかし一ほんとうにおこって、もととら本性ほんしょうかえりますと、どんなけものでもおそれません。それゆえこんどおかみからおふれが出て、はないになったのをさいわい、さしあたりねずみどもをはじめに、人間にんげんにあだをするけものかたっぱしから退治たいじするつもりでいるのです。」
 といました。
 和尚おしょうさんはねこのこうまんらしくてる口上こうじょうを、にこにこしてきながら、
「うん、うん、それはおまえうとおりだとも。だからねずみのうことはげずにかえしてやったのだから、安心あんしんおしなさい。」
 といました。
 そこでねこはすっかりとくいになって、をふりてながら、みんながくびながくしてっているところへ行って、
「みなさん、大丈夫だいじょうぶ和尚おしょうさんは承知しょうちしてくれました。」
 といました。
 するとみんなは口々くちぐちに「万歳ばんざい万歳ばんざい。これで安心あんしんだ。」
 とって、をつなぎって、ねこじゃねこじゃをおどりました。
 するとまたこのはなしいたねずみ仲間なかまでは、
ねこのやつが和尚おしょうさんのところたのみに行ったそうだ。」
和尚おしょうさんはねこに、ねずみのうことはけっしてげないと約束やくそくをなさったそうだ。」
なんでもねこ天竺てんじくとら子孫しそんで、人間にんげんのために世界中せかいじゅうわるけもの退治たいじするんだといばっていたそうだ。」
 てんでん、こんなことを口々くちぐちにわいわいいながら、またおてらえんの下で会議かいぎひらきました。けれどもべつだんわったいい知恵ちえも出ません。
「もうこの上和尚おしょうさんにたのんでみたところで、とてもむだだから、今夜こんやみんなでそろって和尚おしょうさんのところへ行くことはよそう。そしてけないうちに、いよいよ都落みやこおちをして、田舎いなかへ行くことにしよう。」
 だれがすともなく、としったねずみたちのあいだにはこのはなしがまとまって、みんなはあわてて夜逃よにげのしたくにかかりました。
 するとまた元気げんきのいいわかねずみたちが、くやしがって、
「まあってください。われわれはただの一戦争せんそうらしい戦争せんそうをしないで、むざむざみやこてきわたして田舎いなかげるというのは、いかにもふがいないはなしではありませんか。それではいのちだけはぶじにたすかっても、こののちなが獣仲間けものなかまわらわれものになって、まんぞくなつきあいもできなくなります。そんなはずかしい目にあうよりも、のるか、そるか、ここでいちばんにものぐるいにねこたたかって、うまくてば、もうこれからはの中になにもこわいものはない、天井裏てんじょううらだろうが、台所だいどころだろうが、かべすみだろうが、天下てんかはれてわれわれの領分りょうぶんになるし、けたらいさぎよくまくらをならべてぬばかりです。」
 とって、またくやしそうにきいきいぎしりをしました。
 そのいきおいがあんまりいさましかったものですから、ごしになっていたほかのねずみたちも、ついうかうかつりまれて、
「そうだ、それがいい、それがいい。」
「なあに、ねこなんかちっともこわくないぞ。」
 とこんどはきゅうりきかえりながら、いよいよ戦争せんそうのしたくにとりかかりました。
 するとねこほうでもすばやくそれをきつけて、
なにを、ねずみのくせに生意気なまいきなやつだ。」
「よし、のこらずかかってい。一ぺんにみんなころしてやるから。」
 ときゅうつめをとぐやら、きばをこするやら、けずに戦争せんそうのしたくをして、
「おもしろい。おもしろい。ねずみのやつ、はやせてればいい。」
 とちかまえていました。

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