七
僕はまた詩人のトックとたびたび音楽会へも出かけました。が、いまだに忘れられないのは三度目に
「Lied――Craback」(この国のプログラムもたいていは
クラバックは盛んな拍手のうちにちょっと我々へ一礼した後、静かにピアノの前へ歩み寄りました。それからやはり無造作に自作のリイドを
クラバックは全身に情熱をこめ、戦うようにピアノを
それから先は大混乱です。「警官横暴!」「クラバック、弾け! 弾け!」「
「これですか? これはこの国ではよくあることですよ。元来
マッグは何か飛んでくるたびにちょっと
「元来画だの文芸だのはだれの目にも何を表わしているかはとにかくちゃんとわかるはずですから、この国では決して発売禁止や展覧禁止は行なわれません。その代わりにあるのが演奏禁止です。なにしろ音楽というものだけはどんなに風俗を壊乱する曲でも、耳のない河童にはわかりませんからね。」
「しかしあの巡査は耳があるのですか?」
「さあ、それは疑問ですね。たぶん今の旋律を聞いているうちに細君といっしょに寝ている時の心臓の鼓動でも思い出したのでしょう。」
こういう間にも大騒ぎはいよいよ盛んになるばかりです。クラバックはピアノに向かったまま、
「そんな検閲は乱暴じゃありませんか?」
「なに、どの国の検閲よりもかえって進歩しているくらいですよ。たとえば××をごらんなさい。現につい
ちょうどこう言いかけたとたんです。マッグはあいにく脳天に空罎が落ちたものですから、quack(これはただ
河童(かっぱ)
作家录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
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