一六
僕はこういう記事を読んだ
「しかしあなたは子どものようですが……」
「お前さんはまだ知らないのかい? わたしはどういう運命か、母親の腹を出た時には
僕は
「あなたはどうもほかの河童よりもしあわせに暮らしているようですね?」
「さあ、それはそうかもしれない。わたしは若い時は年よりだったし、年をとった時は若いものになっている。従って年よりのように欲にも
「なるほどそれでは安らかでしょう。」
「いや、まだそれだけでは安らかにはならない。わたしは
僕はしばらくこの
「ではあなたはほかの河童のように格別生きていることに
年をとった河童は僕の顔を見ながら、静かにこう返事をしました。
「わたしもほかの河童のようにこの国へ生まれてくるかどうか、一応父親に尋ねられてから母親の胎内を離れたのだよ。」
「しかし僕はふとした拍子に、この国へ
「出ていかれる路は一つしかない。」
「というのは?」
「それはお前さんのここへ来た路だ。」
僕はこの答えを聞いた時になぜか身の毛がよだちました。
「その路があいにく見つからないのです。」
年をとった河童は水々しい目にじっと僕の顔を見つめました。それからやっと
「さあ、あすこから出ていくがいい。」
年をとった河童はこう言いながら、さっきの綱を指さしました。今まで僕の綱と思っていたのは実は
「ではあすこから出さしてもらいます。」
「ただわたしは前もって言うがね。出ていって後悔しないように。」
「
僕はこう返事をするが早いか、もう綱梯子をよじ登っていました。年をとった河童の頭の皿をはるか下にながめながら。
河童(かっぱ)
作家录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
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