二
「どう致しまして、一向結構ぢやございません。結構と云や、先生、
細銀杏は肩の手拭を桶の中へ入れながら、一調子張上げて弁じ出した。
「
馬琴は黙つて又、足を洗ひ出した。彼は勿論彼の著作の愛読者に対しては、昔からそれ相当な好意を持つてゐる。しかしその好意の為に、相手の人物に対する評価が、変化するなどと云ふ事は少しもない。これは聡明な彼にとつて、当然すぎる程当然な事である、が、不思議な事には逆にその評価が彼の好意に影響すると云ふ事も亦殆どない。だから彼は場合によつて、
「何しろあれだけのものをお書きになるんぢや、並大抵なお骨折ぢやございますまい。先づ当今では、先生がさしづめ日本の
平吉は又大きな声をあげて笑つた。その声に驚かされたのであらう。
「貴公は不相変
馬琴は巧に話頭を転換した。がこれは何も眇の表情を気にした訳ではない。彼の視力は幸福な事に(?)もうそれがはつきりとは見えない程、衰弱してゐたのである。
「これはお尋ねに預つて恐縮至極でございますな。手前のはほんの
「いや私は、どうもああ云ふものにかけると、とんと無器用でね。
「そりや
「いや、完く
馬琴は、「性に合はない」と云ふ
戯作三昧(げさくざんまい)
作家录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
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